「すり傷に、厚みのある透明っぽい絆創膏を貼ったら白くふくらんできた。これは膿?」「どんな傷にも貼っていいの?」。傷を乾かさずに治す「湿潤療法」の考え方が広まり、ドラッグストアでもハイドロコロイドの絆創膏(キズパワーパッドなど)が手に入るようになりました。便利な一方で、貼ってはいけない傷に貼って悪化させてしまう例もあります。
ハイドロコロイド絆創膏とは(仕組み)
傷口からは、透明〜黄色っぽい液(浸出液)がにじみ出ます。この液には、傷を治すための成分がたくさん含まれています。ハイドロコロイドの絆創膏は、この液を吸ってゼリー状になり、傷を適度に湿った状態に保つことで、皮膚の再生を助けます。
- かさぶたを作らずに治るため、跡が残りにくい傾向がある
- 傷が乾かないので、痛みが少ない
- 水や汚れを通さないので、貼ったままシャワーを浴びられる
一方で、ぴったり密閉するということは、細菌が入っている傷では、細菌にとっても居心地のよい環境を作ってしまうということでもあります。ここが使い分けのいちばん大切なポイントです。
傷の見分け: 貼ってよい傷・貼ってはいけない傷
| 傷の種類 | 貼ってよいか | 理由 |
|---|---|---|
| 浅いすり傷・小さな切り傷(洗ってきれいにできたもの) | 向いている | 湿潤環境で早く治りやすい |
| 破れた靴ずれ・指のささくれ | 向いている | 痛みがやわらぎ、こすれから守れる |
| 赤く腫れている・膿が出ている・熱をもっている傷 | 貼らない | すでに細菌が増えており、密閉で悪化する |
| 犬や猫にかまれた・引っかかれた傷 | 貼らない | 口の中の細菌が深く入りやすい。受診が必要 |
| 土や砂利が入り込んだ傷、釘などが刺さった傷 | 貼らない | 汚れが残ると感染しやすい。破傷風の心配もある |
| やけど(水ぶくれ・広い範囲) | 自己判断で貼らない | 深さの判断が必要。皮膚科で相談 |
| 出血が止まらない傷・深い傷 | 貼らない | 縫う必要がある場合がある |
糖尿病のある方、血流の悪い方の足の傷も、自己判断での密閉はおすすめしません。小さな傷でも感染に気づきにくく、悪化しやすいためです。
セルフケア: 正しい貼り方
- 水道水でよく洗う: 傷の中の砂や汚れを、流水でしっかり洗い流します。消毒薬は傷を治す細胞まで傷めることがあるため、洗うことのほうが大切です
- 出血を止める: 清潔なガーゼで数分押さえます
- まわりの皮膚の水気を拭く: 濡れていると貼りつきません
- 傷より一回り大きいサイズを選ぶ: 傷のふちから1cm以上の余裕があると、はがれにくくなります
- 手で温めながら貼る: 貼ったあと手のひらで数十秒押さえると密着します
貼ったあとの見方
貼ってしばらくすると、傷の上が白くふくらんで見えます。これは浸出液を吸ったゼリーで、膿ではありません。液が端からもれてきたら貼り替えどきです。もれなければ、数日貼ったままでかまいません。
はがすときは、皮膚を押さえながら端からゆっくり、皮膚と平行に引っ張るようにはがします。
受診の目安(感染のサイン)
次のような変化があれば、すぐにはがして受診してください。
- 貼ってから痛みが強くなってきた
- 傷のまわりの赤みが広がる、腫れる、熱をもつ
- 黄色や緑色の膿、いやなにおいがする
- 熱が出た、赤い線が腕や脚に沿って伸びてきた(リンパ管炎の可能性があります)
- 1週間たっても傷が小さくならない
赤い線が伸びる・高い熱が出るなどは急いで治療が必要なことがあります。夜間や休日で迷うときは、救急安心センター(#7119)に相談できます。
診察室でよく聞かれる質問
消毒してから貼ったほうがいいですか?
基本的には、水道水でよく洗えば十分です。消毒薬は細菌だけでなく、傷を治す細胞も傷めてしまうことがあるため、汚れを洗い流すことを優先してください。
手術のあとの傷にも使えますか?
手術の傷は、手術をした医師の指示に従ってください。傷の状態によっては、密閉性の高い絆創膏でかえって治りが悪くなることがあります。
かぶれてしまいました。
粘着剤や素材でかぶれる方もいます。まわりがかゆく赤くなったら使用をやめ、ガーゼとワセリンなど別の方法に切り替えます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-06)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-06)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

