「頬に赤い丸ができて、少しずつ大きくなる」「市販のかゆみ止めを塗ったら、かえって広がった」「ペットを飼い始めてから顔に赤みが出た」。水虫と同じ仲間のカビ(白癬菌・真菌)は、足だけでなく顔にも感染します。顔の白癬は湿疹や脂漏性皮膚炎と見分けにくく、治療が遠回りになりやすい病気です。
顔面白癬とは(仕組み)
白癬菌というカビが、顔の皮膚の一番外側(角質)に入り込んで増える感染症です。体にできれば体部白癬(ぜにたむし)、顔にできれば顔面白癬と呼びます。
感染のきっかけとして多いのは、次のようなものです。
- ご自身の水虫・爪水虫: 足の白癬菌が、手やタオルを介して顔に移る
- ペット: 犬・猫・うさぎ・ハムスターなどから感染するタイプがあります。動物側に脱毛が見られることもあります
- 格闘技などの接触: 柔道・レスリングなどで、トンズランス菌という白癬菌がうつることがあります
症状・見分け
典型的には、輪っか状の赤みで、ふちが少し盛り上がってカサカサし、中心は薄くなる形をしています。かゆみは軽いことも多く、気づかないうちに広がっていることもあります。
ただし顔の場合は、毎日の洗顔や、すでに塗った薬の影響で、この典型的な形がはっきりしないことがよくあります。
| 考えられるもの | 見た目 | ポイント |
|---|---|---|
| 顔面白癬 | 輪っか状。ふちが盛り上がり、外へ広がる | ステロイドで一時よくなり、また広がる |
| 脂漏性皮膚炎 | 小鼻の脇・眉・生え際の赤みと黄色っぽいフケ | 左右対称に出やすい |
| 顔の湿疹・かぶれ | 境目がぼんやりした赤み | 化粧品などのきっかけがあることが多い |
| 酒さ | 頬・鼻の赤み、ほてり、ニキビのようなブツブツ | 輪っか状にはならない |
見た目だけで決めず、赤みのふちの皮膚を少しこすり取って顕微鏡で見る検査(真菌検査)でカビの有無を確かめます。痛みはほとんどなく、その場で結果が分かることが多い検査です。
なぜステロイドで悪化するのか
ステロイドの塗り薬は炎症を抑えるため、赤みやかゆみが一時的に引いて「効いた」ように見えます。しかし、同時に皮膚の守る力も弱めるため、カビはその間に増えて広がります。やめるとまた赤くなり、形も典型的でなくなって、診断がさらに難しくなります。
顔の赤みに市販のステロイドを塗って、1〜2週間でよくならない、または広がる場合は、塗るのをやめて受診してください。受診前に抗真菌薬を自己判断で塗ると、検査でカビが見つかりにくくなることがあるため、何も塗らずに来ていただくのが理想です。
治療・セルフケア
基本は抗真菌薬(カビを退治する薬)の塗り薬です。赤みのある範囲よりひと回り広く塗ります。見た目がきれいになってからも、しばらく塗り続けることが大切です。皮膚の中にカビが残っていると、再発しやすいためです。
範囲が広い場合、毛穴の奥まで入り込んでいる場合、塗り薬でよくならない場合は、飲み薬を使います。
あわせて、感染のもとを断ちます。ご自身の足や爪に水虫があれば同時に治療し、ペットに脱毛やフケがあれば動物病院に相談します。タオルや枕カバーは家族と分け、こまめに洗濯してください。
受診の目安
- 顔の赤みが輪っか状で、少しずつ広がっている
- 市販の塗り薬を1〜2週間使ってもよくならない、広がった
- ペットや家族、部活の仲間に似た症状がある
- 頭皮にフケや脱毛を伴っている
診察室でよく聞かれる質問
家族にうつりますか?
うつることがあります。ただ、肌が触れたらすぐうつるというほどではありません。タオル・枕を分ける、洗濯をこまめにする、を続けていれば十分なことが多いです。
化粧はしてもいいですか?
治療中も化粧はできます。塗り薬を先に塗り、乾いてから化粧をしてください。夜はしっかり洗顔して、薬を塗り直します。
ペットも治療が必要ですか?
ペットが感染源の場合、動物も治療しないと再びうつることがあります。脱毛や皮膚のかさぶたがあれば、動物病院で相談してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 白癬(確認日: 2026-10-09)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-09)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

