「おむつかぶれだと思って市販の薬を塗っているのに、ちっともよくならない」「トイレのたびに痛いと泣く」「お尻の周りが赤く、かゆがっている」。こうした相談の中に、ときどき溶連菌による皮膚炎が隠れています。のどの病気として知られる溶連菌が、お尻の皮膚にも感染することがあるのです。
肛門周囲溶連菌性皮膚炎とは(仕組み)
溶連菌(A群溶血性連鎖球菌)は、子どもののどの感染症(溶連菌感染症)の原因としてよく知られる細菌です。この菌が、肛門の周りの皮膚に感染して炎症を起こしたものが、肛門周囲溶連菌性皮膚炎です。
のどにいる菌が、指などを通して肛門の周りに運ばれることが原因の一つと考えられています。幼児から小学校低学年くらいの子どもに多く、大人ではあまり見られません。
見た目がおむつかぶれやカビ(真菌)の一種であるカンジダの感染と似ているため、市販の薬を塗っても治らず、時間がたってから分かることが少なくありません。
症状・見分け
よく見られる症状は、次のとおりです。
- 肛門の周りが、境目のはっきりした鮮やかな赤色になる
- うんちのときに痛がる、トイレを我慢する
- かゆがる、お尻をよく触る
- 赤い部分がジクジクする、切れて少し血がつく
熱が出ることは少なく、元気なまま、お尻の症状だけが続くことが多いのも特徴です。痛みでうんちを我慢するうちに、便秘になってしまうこともあります。
似た見た目のお尻の赤みとの違いの目安は次の表のとおりです。最終的には、医療機関での検査で確かめます。
| 見るポイント | おむつかぶれ | カンジダ皮膚炎 | 肛門周囲溶連菌性皮膚炎 |
|---|---|---|---|
| 赤い場所 | おむつが当たる出っ張った部分。しわの奥は赤くなりにくい | しわの奥まで赤い。周りに小さな赤いポツポツが散る | 肛門の周りを中心に、輪のように赤い |
| 赤みの色・境目 | うすい赤〜赤。境目はぼんやり | 赤く、ふちに皮むけがあることも | 鮮やかな赤で、境目がはっきりしている |
| 痛み | こすれるとしみる | かゆみ・ひりつき | うんちのときに強く痛がることが多い |
| 年齢 | おむつをしている乳幼児 | おむつの乳幼児、高齢者 | おむつが外れた幼児にも多い |
| 治療 | 清潔と保護、塗り薬 | 抗真菌薬(カビの薬)の塗り薬 | 抗菌薬の飲み薬 |
診断には、赤い部分を綿棒でこすって溶連菌がいるかを調べます。のどの溶連菌の検査と同じように、短時間で結果が分かる迅速検査を使うこともあります。
治療・セルフケア
治療は、抗菌薬の飲み薬が基本です。飲み始めて数日で痛みや赤みが軽くなっていくことが多いですが、指示された日数をしっかり飲み切ってください。途中でやめると、菌が残ってぶり返しやすくなるためです。
おむつかぶれ用の薬やステロイドの塗り薬、カビの薬を塗り続けても、この病気は治りません。ステロイドの塗り薬は、細菌の感染を悪くしてしまうこともあるため、塗っても治らないときは、続けずに受診してください。
家庭では、次のことを心がけてください。
- お尻はこすらず、ぬるま湯で流す: 赤くなった皮膚はこすると痛く、傷が広がりやすいため
- うんちのあとは、やさしく押さえるように拭く: シャワーやおしり洗浄で流せるとさらによい
- 手洗いをこまめにする: お尻を触った手から、ほかの場所や家族にうつさないため
- 便秘に気をつける: 痛みでうんちを我慢しやすいので、水分をとり、硬い便にならないようにする
受診の目安
- お尻の周りの赤みが、市販の薬やおむつかぶれのケアで数日たってもよくならない
- うんちのときに痛がる、トイレを嫌がる
- 赤みの境目がはっきりしていて、鮮やかな赤色をしている
- 家族や園で、溶連菌にかかった人がいる
高い熱が出た、ぐったりしている、全身に赤い発疹が出てきた場合は、早めに小児科を受診してください。夜間や休日で迷うときは、こども医療電話相談(#8000)や救急安心センター(#7119)に相談できます。
診察室でよく聞かれる質問
保育園や幼稚園は休ませたほうがいいですか?
抗菌薬を飲み始めて、元気であれば登園できることが多いですが、園によって対応が異なります。受診のときに医師に相談し、園の方針も確認してください。
きょうだいや家族にうつりますか?
溶連菌は、触れた手などを通してうつることがあります。タオルを分ける、手洗いをする、お風呂は症状のある子を最後にする、といった工夫をしてください。家族にのどの痛みや発熱が出たときは、溶連菌のことを伝えて受診してください。
治ったのに、またお尻が赤くなりました。
この病気はくり返すことがあります。前回と同じ症状が出たら、塗り薬で様子を見続けずに、早めに受診してください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-19)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A とびひ(確認日: 2026-10-19)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

