「髪を巻いているときに首に当たってしまった」「前髪を伸ばしていて、おでこをジュッとやってしまった」。ヘアアイロンのやけどは、首・おでこ・耳・指など、髪の近くの場所によく起こります。小さなやけどでも、顔や首は人目につくため「跡が残らないか」と心配される方が多い場所です。この記事では、その場でやることと、跡を残しにくくするための手当てをお話しします。
ヘアアイロンのやけどの仕組み
ヘアアイロンは、髪の形を変えるために非常に高い温度になります。触れたのが一瞬でも、皮膚は熱で傷つきます。やけどの深さは、温度と触れていた時間で決まり、深いほど治るのに時間がかかり、跡も残りやすくなります。
| やけどの深さ | 見た目 | 痛み | 治るまでの目安 |
|---|---|---|---|
| 浅い(表皮だけ) | 赤い・ヒリヒリ | 強い | 数日〜1週間ほど。跡はほぼ残らない |
| やや深い(真皮の浅いところまで) | 赤い+水ぶくれ | 強い | 1〜3週間ほど。色の跡が残ることがある |
| 深い(真皮の深いところ以上) | 白っぽい・茶色く硬い・水ぶくれの底が白い | かえって弱いことがある | 長くかかり、傷あとが残りやすい |
ヘアアイロンのやけどは、多くが「浅い〜やや深い」範囲です。ただし、押し当てたまま時間がたった場合や、皮膚が薄い場所では深くなることがあります。痛みが少ないから軽い、とは限らない点に注意してください。深いやけどは神経まで傷つき、かえって痛みを感じにくくなるためです。
その場でやること(応急処置)
- すぐに流水で冷やす。水道水を弱めに出し、10〜20分ほどを目安に冷やします。熱を早く取るほど、やけどが深くなるのを防げます。
- 氷を直接当てない。冷やしすぎて皮膚を傷めることがあります。保冷剤を使う場合はタオルで包みます。
- ネックレスやピアスなどは外す。あとで腫れて外しにくくなるためです。
- 水ぶくれはつぶさない。水ぶくれの膜は、下の傷を守るふたの役目をしています。
- 民間療法は塗らない。歯みがき粉・みそ・油などを塗ると、傷が汚れて化膿の原因になります。
治るまでの手当てと、跡を残しにくくするコツ
浅く小さなやけどは、冷やしたあと、ワセリンなどで傷を乾かさないように保護し、ガーゼや傷あて用のパッドで覆います。傷を乾かしてかさぶたにしないほうが、きれいに治りやすいからです。毎日、やさしく洗って清潔に保ちます。
水ぶくれができたやけどは、皮膚科では状態に合わせて、中の液を抜いて膜を残す処置や、やけど用の塗り薬・傷を覆う材料(創傷被覆材)を使った手当てを行います。化膿を防ぎながら、なるべく早く皮膚を再生させることが、跡を残さない近道です。
治ったあとに気をつけたいのが、茶色い跡(炎症後色素沈着)です。顔や首は日に当たりやすいため、やけどが治ったあともしばらくは日焼け止めや帽子、髪で隠すなどして紫外線を避けると、色が残りにくくなります。茶色い跡は、時間をかけて薄くなっていくことが多いものです。
赤く盛り上がる、かゆみを伴って硬くなるといった場合は、傷あとが厚くなっている(肥厚性瘢痕)ことがあるため、早めに相談してください。
予防
- 首まわりを巻くときは、反対の手で髪を持ち上げ、アイロンを肌から離す
- 使い終わったら、すぐに電源を切り、耐熱の置き台やポーチに置く
- 子どもの手が届く場所に、熱いまま置かない。床に置いたアイロンに子どもが触れるやけどは、少なくありません
- 耐熱のグローブを使う
診察室でよく聞かれる質問
Q. 冷やしたあと、何を塗ればいいですか?
A. 小さく浅いやけどなら、ワセリンで保護してガーゼなどで覆えば十分です。市販のやけど薬を使う場合も、まずはよく冷やしてからにしてください。水ぶくれがある・ただれている場合は、自己判断で塗り続けず受診してください。
Q. 首のやけどを髪やタートルネックで隠してもいいですか?
A. 紫外線から守るという点では役に立ちます。ただ、傷が治る前は、髪の毛やえりが直接こすれると刺激になり、化膿のもとにもなるので、ガーゼなどで覆ったうえで隠してください。
Q. 跡が残るか心配です。
A. 浅いやけどは跡が残らないことが多く、やや深いやけども、きちんと手当てすれば色の跡は時間とともに薄くなることが期待できます。跡を残しやすいのは、水ぶくれを破って化膿させたとき、深いやけどを放置したとき、治ったあとに日焼けしたときです。
Q. 冷やしたのにまだヒリヒリします。
A. やけどの痛みは、冷やしたあともしばらく続くことがあります。冷やすのをやめると痛みがぶり返す場合は、もう少し冷やしてかまいません。痛みが強いときは、市販の痛み止めを使ってよい場合もあるので、薬剤師や医師に相談してください。
受診の目安
- 顔・首・耳・指のやけどで、水ぶくれができた
- やけどの中心が白っぽい、硬い、痛みが少ない(深いやけどのサイン)
- 大きさが自分の手のひらほど以上ある
- 赤く腫れて熱をもつ、膿が出る、熱が出てきた(化膿のサイン)
- 赤ちゃんや小さな子どものやけど
- 1〜2週間たっても治らない、盛り上がってきた
広い範囲のやけど、目に近いやけど、子どもの広いやけどは、すぐに医療機関を受診してください。夜間や休日で迷う場合は、救急安心センター(#7119)に相談できます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-20)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A(確認日: 2026-10-20)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

