「朝起きると鼻すじが赤くなっている」「頬にマスクの跡が残って、最近は皮がむけてきた」「マスクが当たる所がかゆい」。睡眠時無呼吸症候群の治療でCPAPを使っている方からよく聞く悩みです。CPAPは毎晩使い続けることに意味がある治療なので、肌のトラブルで使えなくなるのはもったいないことです。原因の見分け方と、続けながら治すコツを整理します。
マスクで肌トラブルが起きる仕組み
CPAPのマスクは、空気が漏れないように顔に密着させて使います。漏れを防ごうとしてベルトを強く締めると、マスクの縁が同じ場所を一晩中押し続けることになります。
とくに鼻すじ(鼻の付け根)・頬骨の上・おでこは、皮膚のすぐ下に骨があり、脂肪のクッションが薄い場所です。ここが長時間押されると皮膚の血の巡りが悪くなり、はじめは赤み、続くと皮むけやただれになります。これは、寝たきりの方にできる床ずれ(褥瘡)と同じ仕組みです。
そのほか、次のような原因もあります。
- こすれ…寝返りでマスクがずれると、縁が皮膚をこすります。
- 蒸れと皮脂…マスクの内側は湿気がこもり、皮脂もたまりやすいため、ニキビのようなブツブツが出ることがあります。
- 空気の漏れ…漏れた空気が当たる所や目のまわりが乾燥します。
- かぶれ…マスクのシリコーン自体によるかぶれは多くありませんが、洗浄に使う洗剤や、マスクを拭くシートの成分でかぶれることがあります。
症状と見分け方
| 考えられるもの | 見た目・特徴 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 圧迫 | 朝、マスクの縁の形に赤くなる。続くと茶色っぽい跡、皮むけ、ただれ | 鼻すじ・頬骨など骨の上に多い。日中に赤みが引くうちは初期 |
| こすれ | 赤み、ヒリヒリ、皮むけ | マスクがずれやすい側に出る |
| かぶれ | かゆみ、細かいブツブツ、ジュクジュク | マスクの当たる範囲の外まで広がる。洗剤やシートを変えた後に出る |
| ニキビ・毛包炎 | 毛穴に一致した赤いブツブツ、膿 | マスクの内側、鼻の下、口のまわりに出やすい |
| 乾燥 | カサカサ、粉をふく | 空気が漏れる側や目のまわり |
治療を続けながら肌を守るコツ
- 漏れは「締める」より「合わせる」で止める。漏れるたびにベルトを締めると、圧迫がどんどん強くなります。マスクの位置やサイズを合わせ直すほうが、漏れも肌トラブルも減ります。
- マスクのクッション部分を毎朝洗う。ぬるま湯と中性洗剤で洗い、よくすすいで乾かします。皮脂がたまると密着が悪くなって漏れやすくなり、結果として強く締めてしまう原因になります。
- 寝る前に顔を洗う。皮脂や汗を落としてから着けます。保湿剤は、ベタつきの強いものをたっぷり塗った直後に着けると、マスクが滑ってずれやすくなります。寝る少し前に塗ってなじませておくのがよい方法です。
- マスクの種類の変更を相談する。鼻だけを覆うタイプ、鼻の穴に当てるタイプ、口まで覆うタイプなど、当たる場所の違うマスクがあります。同じ場所ばかり赤くなる場合は、種類を変えると圧がかかる場所をずらせます。
- 皮膚を守るパッドは相談してから使う。医療用の保護材を貼る方法もありますが、貼り方によっては漏れの原因になります。CPAPの担当者に相談してから使ってください。
皮膚科での治療
圧迫によるただれには、皮膚を保護する塗り薬や被覆材を使い、圧がかからないようにしながら治します。かぶれや湿疹には炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬)を短期間使います。顔は皮膚が薄いので、強さと使う期間を医師と相談しながら使います。ニキビのようなブツブツには、抗菌薬の塗り薬などを使います。
マスクそのものの調整は、CPAPを処方している医療機関(睡眠外来・呼吸器内科・耳鼻咽喉科など)や機器の担当者の役割です。皮膚科で診てもらった内容を伝えると、調整がスムーズに進みます。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 赤くて痛いので、治るまでCPAPを休んでもいいですか?
A. 自己判断で休まず、まずCPAPを処方している医療機関に相談してください。休んでいるあいだは睡眠中の呼吸の止まりが元に戻ってしまうためです。マスクの変更などで、続けながら治す方法が見つかることがほとんどです。
Q. 赤い所に絆創膏を貼ってから着けてもいいですか?
A. 絆創膏の厚みで漏れが出たり、はがすときに皮膚を傷めたりすることがあります。貼りたいときは、薄い医療用の保護材を担当者と相談して選んでください。
Q. ひげがあると漏れやすいのですか?
A. ひげがあるとマスクとの間にすき間ができ、漏れやすくなることがあります。強く締めて止めようとすると圧迫の原因になるので、マスクの種類を相談してみてください。
受診の目安
- マスクの跡の赤みが日中も引かなくなった
- 皮むけやただれ、かさぶたができた
- かゆい湿疹がマスクの外まで広がっている
- 膿をもったブツブツが増えている
- 肌のトラブルが理由で、CPAPを使えない夜が続いている
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ(接触皮膚炎)」(確認日: 2026-10-21)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-21)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

