「すねをテーブルの角にぶつけてから、こぶが硬いまま残っている」「転んで打った太ももに、ぐりぐりしたしこりがある」「子どものおでこのたんこぶが、なかなか引かない」。ぶつけた覚えがはっきりしていると、ぶつけたせいだと考えがちです。多くはそのとおりなのですが、なかには別の原因が隠れていることもあります。見分け方と、待ってよいものの目安を整理します。
ぶつけた後にしこりができる仕組み
強くぶつけると、皮膚の下の細い血管が切れて出血します。出血が皮膚の浅いところに広がると青あざ(内出血)になり、一か所にたまるとこぶのようなふくらみ(血腫)になります。すねやおでこのように、皮膚のすぐ下に骨がある場所は、血液の逃げ場がないため、こぶになりやすい場所です。
たまった血液は、体が少しずつ吸収していきます。その途中で血液が固まって硬くなるため、ぶつけた直後はぶよぶよしていたこぶが、数日後には硬いしこりに変わることがあります。吸収には時間がかかり、大きな血腫では数か月かかることもあります。
このほかに、ぶつけた後に残るしこりには次のようなものがあります。
- 脂肪が傷んでできるしこり…太ももやお尻、胸など脂肪の多い場所を強く打つと、皮膚の下の脂肪の一部が傷み、硬いしこりとして残ることがあります。
- 石灰化…古い血腫や傷んだ組織に、カルシウムが沈着して硬くなることがあります。
- もともとあったしこり…ぶつけて痛みが出たことで、初めて粉瘤や脂肪腫に気づくことがあります。とくに粉瘤は、ぶつけた刺激で中の袋が破れて、赤く腫れることがあります。
症状と見分け方
| 考えられるもの | 触った感じ・経過 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 血腫(血のかたまり) | はじめはぶよぶよ、のちに硬くなる。押すと痛い | いちばん多い。青あざを伴い、週単位で小さくなる |
| 脂肪が傷んでできるしこり | 硬く、皮膚の少し深いところに触れる | 脂肪の多い場所。痛みは少なく、ゆっくり小さくなるか残る |
| 粉瘤 | 皮膚のすぐ下の丸いしこり。中央に小さな黒い点 | ぶつける前からあった可能性。赤く腫れて痛むことがある |
| 脂肪腫 | やわらかく、つまむと少し動く | 痛みがなく、年単位でゆっくり大きくなる |
| まれな腫瘍 | 硬い、動きにくい、ぶつけた後も大きくなり続ける | 4〜5cmを超える、急に大きくなる場合は早めに受診 |
見分けるうえでいちばん大切なのは大きさの変化です。ぶつけてできた血腫は、時間とともに必ず小さくなる方向に向かいます。小さくならない、大きくなるものは、ぶつけたこととは別の原因を考えます。
治療と家でできる手当て
- ぶつけた直後は冷やして押さえる。保冷剤をタオルで包み、15分ほど当てながら軽く押さえます。出血を少なくすれば、こぶも小さく済むからです。
- もまない。早く散らそうとしてもむと、かえって出血が広がることがあります。
- 数日たったら温めてもよい。腫れや痛みが落ち着いたら、入浴などで温めると吸収が進みやすいとされています。
- 大きさを記録する。定規を当てて写真を撮っておくと、小さくなっているかが比べやすく、受診したときの判断材料にもなります。
皮膚科では、触診に加えて、超音波(エコー)検査で、しこりの中身が血液なのか、袋状の粉瘤なのか、脂肪のかたまりなのかを確認します。大きな血腫が長く残る場合は、針で中の血液を抜くこともあります。粉瘤や脂肪腫であれば、局所麻酔での手術で取り除くことができ、必要に応じて取ったものを顕微鏡で調べる検査(病理検査)を行います。
診察室でよく聞かれる質問
Q. おでこのたんこぶが硬く残っています。頭の中は大丈夫でしょうか?
A. たんこぶ自体は皮膚の下の出血で、時間とともに小さくなります。ただ、頭を打った後に、ぼんやりする、吐く、頭痛が強くなる、手足が動かしにくいといった様子があれば、皮膚の問題ではなく頭の中のけがを疑って、すぐに救急を受診してください。迷うときは #7119 に相談できます。
Q. ぶつけたせいで粉瘤ができることはありますか?
A. ぶつけたことが粉瘤の原因になると考えられる場合もありますが、多くはもともとあった粉瘤に、ぶつけて痛みが出たことで気づいたケースです。どちらの場合も、大きくなる前、炎症を起こす前に取るほうが傷あとを小さくしやすくなります。
Q. どのくらい待っても小さくならなければ受診すべきですか?
A. 1か月を一つの目安にしてください。それまでに少しずつでも小さくなっていれば、そのまま様子を見てかまいません。
受診の目安
- 1か月たっても小さくならない、またはだんだん大きくなる
- 大きさが4〜5cmを超える、硬くて動かない
- 赤く腫れて熱をもち、痛みが強くなる、膿が出る
- ぶつけた直後から腫れがどんどん広がる(すぐに受診)
- ぶつけた覚えのないあざやしこりが、ほかの場所にも増えている
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「粉瘤」(確認日: 2026-10-22)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-22)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

