「自分がアトピーなので、子どもにもうつしてしまうのでは」「上の子がアトピー。下の子も同じになるのか」「妊娠中に何か気をつければ防げるのか」。アトピー性皮膚炎のある親御さんや、これから親になる方からよく聞かれる質問です。分かっていることと分かっていないことを分けて整理します。
アトピーと遺伝の関係(仕組み)
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア(外からの刺激や異物を防ぐ働き)が弱いことと、アレルギーの反応を起こしやすい体質が重なり、そこに乾燥・汗・こすれ・ダニなどの刺激が加わって起こると考えられています。
このうち「バリアの弱さ」と「アレルギーの起こしやすさ」には、生まれつきの要素があります。たとえば、皮膚の潤いを保つたんぱく質(フィラグリン)をつくる遺伝子に違いがある人は、皮膚が乾燥しやすく、アトピー性皮膚炎になりやすいことが分かっています。
ただし、アトピー性皮膚炎は1つの遺伝子で決まる病気ではありません。多くの遺伝的な要素と環境の要素が組み合わさって起こるため、親がアトピーでも子どもが発症しないことは珍しくなく、反対に家族に誰もアトピーがいなくても発症することがあります。
家族歴と発症しやすさの目安
| 家族の状況 | 子どもの発症しやすさ |
|---|---|
| 両親ともにアトピー性皮膚炎 | 最も高い傾向 |
| 片方の親がアトピー性皮膚炎 | 高い傾向 |
| 親にぜんそく・花粉症などほかのアレルギー | やや高い傾向 |
| 家族にアレルギーの病気がない | 発症することはあるが、相対的に低い |
これはあくまで傾向であり、「親がアトピーだから必ずなる」「家族にいないから大丈夫」とは言えません。
できること・できないこと(予防とセルフケア)
できること
- 赤ちゃんの肌の乾燥を放っておかない。生まれてすぐから保湿を続けることで発症を減らせたという国内の研究があり、一方で予防の効果ははっきりしなかったという海外の研究もあり、結果は分かれています。少なくとも、乾燥した肌に保湿をすることは、湿疹を防ぎ、早く気づくきっかけになります
- 湿疹が出たら早めに治療する。湿疹を長く放っておくと、荒れた皮膚から食べ物などの成分が入り込み、食物アレルギーにつながる可能性が指摘されています。早く治すことは、皮膚だけでなくアレルギー全体のためにも大切です
- 汗や汚れはやさしく洗い流す。泡でなでるように洗い、こすらない
できないこと・すすめられていないこと
- 妊娠中・授乳中に、お母さんが特定の食べ物を除去することは、子どものアトピーの予防としてすすめられていません。栄養が偏るおそれがあるため、バランスよく食べてください
- 遺伝的な体質そのものを変えることはできません。だからこそ、スキンケアと早めの治療が大切になります
診察室でよく聞かれる質問
Q. 親がアトピーです。子どもの肌が少し赤いのですが、すぐ受診したほうがいいですか?
A. 赤ちゃんの湿疹は、アトピーでなくても乳児湿疹などでよく見られます。ただ、早く治療を始めるほど治りやすいため、保湿をしても数日で良くならない、かゆがって顔をこすりつける、ジュクジュクする場合は、早めに相談してください。
Q. 上の子がアトピーです。下の子も必ずなりますか?
A. 必ずではありません。兄弟でも体質や環境は少しずつ違い、上の子だけ、下の子だけということもよくあります。上の子で得た経験を生かして、下の子は早めに保湿や治療を始められるのは強みです。
Q. 大人になってからアトピーが出ました。これも遺伝ですか?
A. 子どもの頃に軽い症状があった方が、仕事のストレスや生活の変化をきっかけに再び悪化することがあります。体質の素地に、環境の変化が重なったと考えられます。
受診の目安
- 保湿を続けても、湿疹が1〜2週間以上治らない、くり返す
- かゆみで眠れない、日中も掻いてしまう
- ジュクジュクする、黄色いかさぶたができる(細菌感染の可能性)
- 顔や体に、小さな水ぶくれが急に広がる(ヘルペスの感染の可能性があるため早めに)
- 赤ちゃんの湿疹があり、食べ物のアレルギーも心配
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「アトピー性皮膚炎」(確認日: 2026-10-24)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-24)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

