「風邪薬を飲んだあとに全身に発疹が出て、薬疹と言われた」「どの薬が原因だったか、名前を覚えていない」「歯医者や別の病院で、何と伝えればいいのか分からない」。薬疹は治ったあとの記録がとても大切です。何を、どこに、どう残せばよいかを説明します。
なぜ記録が大切か(仕組み)
薬疹は、体が薬の成分を異物と覚えて反応することで起こる皮膚の症状です。一度覚えると、同じ成分の薬を再び使ったときに、より早く、より強く症状が出ることがあります。まれに、粘膜のただれや高熱を伴う重い薬疹になることもあります。
注意したいのは、同じ成分でも、商品名が違う薬がたくさんあることです。市販の風邪薬や痛み止めにも、病院の薬と同じ成分が含まれていることがあります。また、成分の形が似ている別の薬に反応することもあります。商品名だけを覚えていても、別の名前の薬で同じ成分を使ってしまうことがあるため、成分名で残しておくことが大切です。
何を記録するか
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 原因と考えられる薬の成分名 | 成分名(商品名も分かれば併記) |
| 出た症状 | 全身に赤いブツブツ、かゆみ。熱あり。唇のただれなし |
| 時期 | 2026年10月、飲み始めて5日目に出た |
| 診断した医療機関 | 医療機関名と診療科 |
| 確かさ | 疑い/検査で確認済み など医師の説明どおりに |
薬疹では、同時にいくつかの薬を飲んでいて、原因が1つに決めきれないこともあります。その場合は、疑われた薬をすべて書いておくのが安全です。
どこに残すか
- お薬手帳:アレルギー・副作用の欄に書きます。薬局で頼めば、薬剤師が書き込んでくれることもあります。お薬手帳のアプリにも、副作用歴を登録する欄があります。
- 医療機関が発行するカード:重い薬疹の場合などに、原因薬を記したカードを発行する医療機関があります。財布や保険証と一緒に持ち歩いてください。
- スマートフォンのメモ:急な受診や旅行先でもすぐに見せられるよう、写真やメモで残しておくと安心です。
次に薬をもらうとき
病院・歯科・薬局で薬をもらうとき、また市販薬を買うときは、「以前に〇〇(成分名)で薬疹が出ました」と最初に伝えてください。問診票のアレルギー欄にも必ず書きます。医師や薬剤師は、同じ成分や似た成分の薬を避けて処方を考えます。
手術や検査の前、入院のとき、救急で受診するときも同じです。自分から伝えないと、相手には分からない情報だと考えてください。
治療・検査について
薬疹の治療は、原因の薬を中止し、ステロイドの塗り薬や飲み薬、かゆみ止めの飲み薬で症状を抑えるのが基本です。原因の薬をはっきりさせるために、治ったあとにパッチテストや血液の検査を行うことがありますが、検査で必ず原因が分かるわけではありません。どの薬が疑わしいかは、飲み始めた時期と症状の出方から総合的に判断します。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 一度薬疹が出た薬は、もう一生使えませんか?
A. 原則として、同じ成分の薬は避けるのが安全です。どうしても必要な場合は、医師が慎重に判断します。自己判断で再び飲むことは避けてください。
Q. 家族も同じ薬で薬疹が出ますか?
A. 薬疹は、家族だからといって同じように起こるわけではありません。ただし、体質が関係する薬疹もあるので、家族で同じ薬を使うときは、念のため医師に伝えておくと安心です。
受診の目安
- 薬を飲み始めてから、発疹が出た(薬は自己判断でやめず、すぐに処方した医療機関へ連絡)
- 原因の薬が分からないまま治ってしまい、記録の仕方に困っている
- 唇・口の中・目の充血やただれ、高熱、皮膚の水ぶくれを伴う場合は、重い薬疹の可能性があるため、すぐに救急を受診してください(迷うときは #7119)
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-26)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-26)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

