「耳の奥がズキズキ痛いと思っていたら、耳たぶに水ぶくれが出てきた」「歯みがきのときに口の片側から水がこぼれる」「めまいや耳鳴りもする」。耳の病気だと思って耳鼻咽喉科、顔のゆがみで脳の病気を心配して脳神経内科と、受診先に迷いやすい病気です。どんな病気で、何科にかかればよいかを説明します。
ラムゼイ・ハント症候群とは(起こる仕組み)
子どものころにかかった水ぼうそうのウイルスは、治ったあとも神経の根元に潜んでいます。疲れや加齢などで体の抵抗力が落ちると、ウイルスが再び動き出し、神経に沿って皮膚に水ぶくれを作ります。これが帯状疱疹です。
ウイルスが、顔を動かす神経(顔面神経)と、耳の聞こえやバランスにかかわる神経の近くで動き出したものを、ラムゼイ・ハント症候群と呼びます。神経が炎症で傷むため、皮膚の症状だけでなく、顔の動きや耳の働きに影響が出ます。
症状と見分け方
典型的には次の3つがそろいますが、順番がずれて出る、全部はそろわないこともあります。水ぶくれより先に、顔のゆがみや耳の痛みが出ることもあります。
| 症状 | 具体的な様子 |
|---|---|
| 顔の片側の動かしにくさ(顔面神経麻痺) | 口の片側から水がこぼれる、目が閉じにくい、おでこにしわが寄せられない |
| 耳やその周りの水ぶくれ・赤み | 耳たぶ、耳の穴の入り口、耳の後ろに小さな水ぶくれが集まる。強い痛みを伴うことが多い |
| 耳の症状 | 耳鳴り、聞こえにくさ、めまい(ぐるぐる回る感じ) |
顔のゆがみに加えて、手足のしびれや力の入りにくさ、ろれつが回らない場合は、脳の病気の可能性があるため、すぐに救急を受診してください(迷うときは #7119)。
治療
帯状疱疹のウイルスを抑える抗ウイルス薬と、神経の炎症やむくみを抑えるステロイド薬を組み合わせて使うのが基本です。症状が重い場合や、聞こえやめまいの症状が強い場合は、入院して点滴で治療することもあります。耳の痛みには痛み止めを使い、目が閉じにくい場合は、目が乾いて傷つかないように目薬や眼帯で保護します。
顔面神経麻痺の回復には、数週間から数か月かかることがあります。治療を始める時期が遅れると、回復が遅れたり、顔の動きに後遺症が残ったりすることがあるため、早く治療を始めることがいちばん大切です。
何科を受診すればいいか
顔の動きや耳の聞こえ・めまいの症状がある場合は、耳鼻咽喉科での聴力の検査や神経の評価が重要になります。耳の水ぶくれが先に出て、まず皮膚科を受診した場合も、顔や耳の症状があれば耳鼻咽喉科と連携して治療します。迷ったときは、症状が出てからの日数をできるだけ短くすることを優先して、早く受診できる医療機関にかかってください。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 家族や子どもにうつりますか?
A. 帯状疱疹として人にうつることはありませんが、水ぼうそうにかかったことのない人、とくに赤ちゃんや妊娠中の方には、水ぶくれの中のウイルスで水ぼうそうがうつる可能性があります。水ぶくれがかさぶたになるまでは、ガーゼで覆い、接触を避けてください。
Q. 目が閉じにくいのですが、寝るときはどうすればいいですか?
A. 目が開いたままだと、角膜(黒目の表面)が乾いて傷つくことがあります。処方された目薬や眼軟膏を使い、寝るときは眼帯やテープでまぶたを閉じた状態にしておくと安心です。
予防について
帯状疱疹には、50歳以上の方などを対象にしたワクチンがあり、発症や重症化のリスクを下げることが期待できます。とくに不活化ワクチン(組換えワクチン)は効果が長く続くとされ、基本的にこちらを勧めています。自治体によって費用の助成があります。
受診の目安
- 顔の片側が動かしにくい、口から水がこぼれる、目が閉じにくい(その日のうちに受診)
- 耳やその周りに、痛みを伴う水ぶくれが出た
- 耳鳴り、聞こえにくさ、めまいがある
- 手足のしびれ・ろれつが回らないなどを伴う場合は救急へ
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ヘルペスと帯状疱疹(確認日: 2026-10-26)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

