「熱いお茶をこぼしてしまった」「炊飯器の蒸気に手を出した」。子どものやけどは、大人が目を離した一瞬に、家の中で起こることがほとんどです。子どもの皮膚は大人より薄く、同じ温度でも深いやけどになりやすいため、最初の数分の対応が大切です。応急処置、受診の目安、家庭でできる予防を説明します。
子どものやけどの特徴(仕組み)
やけどは、熱で皮膚の細胞が傷ついた状態です。熱が加わった時間と温度が大きいほど、皮膚の深いところまで傷みます。
- 皮膚が薄い:大人なら浅いやけどで済む温度でも、子どもでは深くなりやすいとされています
- 体の大きさに対して範囲が広くなりやすい:マグカップ1杯の飲み物でも、小さな子どもでは胸からお腹まで広がります
- 体温が下がりやすい:広い範囲を長く冷やすと、体全体が冷えてしまうことがあります
家庭で多い原因は、熱い飲み物・汁物、電気ケトルやポットのお湯、炊飯器や加湿器の蒸気、アイロン・ヘアアイロン、ストーブ・ヒーター、湯たんぽやカイロによる低温やけどなどです。
症状・見分け方(やけどの深さ)
| 深さ | 見た目 | 痛み | 受診 |
|---|---|---|---|
| 浅い(表皮まで) | 赤くなるだけ。水ぶくれはない | ヒリヒリ痛む | 範囲が狭く、顔・手・陰部でなければ様子見も可 |
| 中くらい(真皮まで) | 水ぶくれができる。はがれると赤くジュクジュク | 強く痛む | 受診が必要 |
| 深い | 白っぽい・黄色っぽい・黒っぽい。水ぶくれの底が白い | かえって痛みが少ないことがある | すぐに受診 |
やけどの深さは、その場では判断しにくく、翌日以降に深かったと分かることもあります。「痛がらないから大丈夫」とは限りません。
応急処置(家庭でできること)
- すぐに流水で冷やす:水道水を、やけどの部分に直接強く当てないように流し、15〜20分を目安に冷やします
- 服は脱がさない:服が皮膚に貼りついていると、脱がすときに皮膚がはがれます。服の上から冷やしてください
- 指輪・腕時計などは外す:あとで腫れて外れなくなるためです
- 体が冷えすぎないように:やけど以外の部分はタオルで包み、唇が紫色になる・震えるなどがあれば冷やす範囲や時間を控えめにします
- 冷やした後は清潔なガーゼやラップで覆う:そのまま受診します
氷を直接当てる、水ぶくれをつぶす、アロエや味噌・油などを塗るのはやめてください。氷は皮膚をさらに傷め、民間療法は感染の原因になります。
受診の目安
- 水ぶくれができた
- 子どもの手のひら(指を含む)より広い範囲
- 顔・首・手・足・陰部・関節のやけど
- 白っぽい・黒っぽいなど、色が変わっている
- 湯たんぽ・カイロ・ホットカーペットなどによる低温やけど(見た目より深いことが多い)
- 電気・薬品によるやけど
広い範囲のやけど、顔のやけどで息苦しそう・声がかれる、ぐったりしている場合は、すぐに救急車(119)を呼んでください。受診すべきか迷うときは、子ども医療電話相談(#8000)や救急安心センター(#7119)に相談できます。
治療とその後のケア
医療機関では、やけどの深さと範囲を確認し、傷を保護する塗り薬や被覆材で治療します。浅いやけどは多くの場合、数日〜2週間ほどで治ります。深いやけどは治るまでに時間がかかり、傷あとが残ることもあるため、継続して経過を見ます。
治った後の皮膚は、しばらく赤みや色素沈着が残りやすく、紫外線で目立ちやすくなります。数か月は日焼け止めや衣類で紫外線を避けてください。
家庭でできる予防
- 電気ケトル・ポット・炊飯器は、子どもの手が届かない高さ・奥に置き、コードを垂らさない
- 熱い飲み物を持ったまま子どもを抱っこしない
- テーブルクロスを使わない(引っぱって熱い物が落ちる)
- アイロン・ヘアアイロンは使用後すぐに片付ける。冷めるまで子どもの手の届かない場所へ
- ストーブやヒーターには柵をつける
- お風呂は大人が先に湯温を確かめる
- 湯たんぽは布団を温めるために使い、寝るときは取り出す
よくある質問
Q. 冷やす時間が15〜20分と長いのですが、短くてもいいですか?
A. できるだけ続けてください。冷やすことで、熱が皮膚の深いところに伝わり続けるのを止め、痛みも軽くなります。ただし、小さな子どもで体が冷えてきた様子があれば、無理に続けず、やけどの部分だけを冷やしながら受診してください。
Q. 水ぶくれが破れてしまいました。
A. 破れた皮はそのまま残し、清潔なガーゼで覆って受診してください。はがしてしまうと、痛みが強くなり、感染もしやすくなります。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-11-01)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-11-01)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

