「やけどは治ったけれど、跡が残らないか心配」「赤みや茶色い跡はいつ消えるの?」——やけどの手当てが終わったあとに、とても多い相談です。とくに子どもや、顔・手など目立つ場所のやけどでは、跡を気にされる方が多くいます。
やけどの跡は、治った直後に完成するものではなく、数か月から1年以上かけて変化していきます。この記事では、深さと跡の関係、跡のタイプ、時期別のケア、治療の選択肢を説明します。応急処置については関連ページをご覧ください。
やけどの深さと跡の関係(仕組み)
皮膚は、表面から表皮・真皮・皮下組織の層でできています。やけどがどの層まで届いたかで、治り方と跡の残り方が変わります。
| 深さ | 見た目 | 治るまでの目安 | 跡 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ度(表皮まで) | 赤くヒリヒリする。水ぶくれはない | 数日 | 残らないことが多い |
| 浅いⅡ度(真皮の浅いところまで) | 水ぶくれができ、強く痛む | 2週間前後 | 一時的な色素沈着が出ても、薄くなっていくことが多い |
| 深いⅡ度(真皮の深いところまで) | 水ぶくれの底が白っぽく、痛みが弱いこともある | 3週間以上かかることが多い | 盛り上がった跡やひきつれが残りやすい |
| Ⅲ度(皮下まで) | 白や黒っぽく硬い。痛みを感じにくい | 自然には治りにくい | 手術(植皮など)が必要になることがある |
痛みが少ないからといって軽いやけどとは限りません。深いやけどは神経まで傷んで痛みを感じにくくなるため、白っぽく痛くないやけどは、かえって注意が必要です。
跡のタイプと経過
- 赤み — 治ったばかりの皮膚は血流が多く、赤く見えます。数か月かけて落ち着いていくことが多いです
- 茶色い跡(炎症後色素沈着) — 炎症のあとにメラニンが残ったもの。紫外線を浴びると濃くなり、長引きます
- 白く抜けた跡 — 色を作る細胞が傷んだもので、深めのやけどで起こりやすく、戻りにくいことがあります
- 盛り上がった跡(肥厚性瘢痕・ケロイド) — 傷を治す組織が作られすぎたもので、赤く硬く盛り上がり、かゆみや痛みを伴います
- ひきつれ(瘢痕拘縮) — 関節や首などで跡が縮み、動かしにくくなるもの。治療が必要です
時期別のケア
治りかけの時期は、傷を乾かさずに保護して治すのが基本です。水ぶくれは、できるだけ破らずに受診してください。水ぶくれの膜は、下の皮膚を守るふたの役割をしているからです。
治った直後から数か月は、跡の仕上がりを左右する大事な時期です。新しい皮膚は紫外線で色素沈着を起こしやすいため、日焼け止めや衣服、テープで紫外線を防ぎます。新しい皮膚は乾きやすく、かゆみから掻いてしまうと跡が悪化するため、保湿も続けます。盛り上がりやすい場所では、医療用のテープやシリコンジェルシートで跡を保護・圧迫する方法が勧められることがあります。
治療の選択肢
盛り上がった跡には、まず塗り薬・貼り薬・圧迫などの保存的な治療から始めるのが基本です。ステロイドの貼り薬(テープ剤)は、盛り上がりやかゆみを抑えるのによく使われます。かゆみや盛り上がりに対して、トラニラストという飲み薬が使われることもあります。効果が不十分な場合は、ステロイドの注射を検討します。
ひきつれで動きが制限される場合や、保存的な治療で改善しない場合は、手術で跡を修正することがあります。赤みや色素沈着が長く残る場合には、レーザー治療が選択肢になることもあります(自由診療となる場合があります)。
受診の目安
- 治るまでに2〜3週間以上かかっている、またはかかりそう
- 跡が赤く硬く盛り上がってきた、かゆみや痛みがある
- 関節や首の跡がひきつれて動かしにくい
- 顔・手・陰部など、目立つ・機能に関わる場所のやけど
- 湯たんぽやカイロによる低温やけど(見た目より深いことがあります)
広い範囲のやけど、顔のやけどで息苦しさがある、乳幼児や高齢者のやけどなどは、跡の心配より先に、すぐに医療機関を受診してください。迷うときは#7119(救急安心センター)に相談してください。
よくある質問
やけどの跡に市販の保湿剤を塗ってもいいですか?
傷が完全にふさがってからであれば、刺激の少ない保湿剤を使ってかまいません。ヘパリン類似物質やワセリンなどがよく使われます。傷がまだじくじくしている間は、塗る前に受診して相談してください。
アロエや味噌を塗ると跡が残りにくいと聞きました。
おすすめしません。傷に雑菌が入り、感染を起こして治りが遅れ、かえって跡が残りやすくなるためです。応急処置は流水で冷やすことが基本です。
子どものやけどの跡は、成長とともに消えますか?
浅いやけどの跡は、年単位で目立ちにくくなっていくことが多いです。一方で、深いやけどの跡は成長に伴ってひきつれが目立ってくることもあるため、定期的に診てもらうと安心です。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「ケロイド」(確認日: 2026-10-30)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-10-30)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

