犬や猫に咬まれた・引っかかれた|自宅でやること、縫わない理由、受診が必要なサイン

犬や猫に咬まれた・引っかかれた|自宅でやること、縫わない理由、受診が必要なサイン
DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
更新日: 2026年9月18日執筆: あび皮膚科クリニック編集部医師紹介

「小さい穴が開いただけなので様子を見ていたら、翌日パンパンに腫れた」——動物の咬み傷でよくある経過です。ここが普通のすり傷と決定的に違う点で、傷の大きさと危険度がまったく一致しません。この記事では、その理由と、受診するまでに家でやっておくことを説明します。

目次

なぜ咬み傷は腫れやすいのか

理由は傷の形にあります。犬や猫の歯は細くとがっているため、皮膚に開く穴は小さいのに、傷は深いところまで届きます。そして歯についていた細菌が、その深いところに一緒に運び込まれます。

入口が小さいということは、洗い流されにくく、膿が外に出られないということでもあります。だから内側で炎症が広がり、翌日になって急に腫れ・熱感・強い痛みが出てきます。皮膚の下の組織に感染が広がった状態を蜂窩織炎といいます(関連記事: 蜂窩織炎)。

猫の咬み傷が特に注意されるのは、猫の歯がとりわけ細く鋭く、深い穴になりやすいからです。犬は皮膚が裂けるような傷になりやすく、傷は派手でも洗いやすいという違いがあります。

動物・部位ごとの注意点

傷の性質 注意すること
猫に咬まれた 小さく深い穴になる 感染しやすい組み合わせです。傷が小さくても受診を
猫に引っかかれた 浅い線状の傷 数日〜数週間後にリンパ節が腫れて熱が出ることがあります(関連記事: 首のしこり)
犬に咬まれた 裂けた傷になりやすい 傷が深い・大きい場合は処置が必要。力が強く、皮膚の下が広く傷んでいることがあります
手・指を咬まれた 皮膚のすぐ下に腱や関節がある どの動物でも最も注意が必要な部位です。早めに受診してください
顔を咬まれた 血流が良く治りやすいが傷あとが残る 早めに受診を。特に子どもは顔を咬まれやすい傾向があります
ハムスターなど小動物 小さな穴 まれにアレルギー反応が出ることがあります。腫れ・息苦しさがあればすぐ受診を

受診するまでに家でやること

  • ①流水で洗う — 水道水で3分以上、しっかり。これがいちばん効果のある処置です。傷の中に運び込まれた細菌の量を減らすことが目的なので、勢いのある水で洗い流してください
  • ②出血は清潔なガーゼで押さえる — 5〜10分しっかり圧迫します
  • ③消毒液は必須ではありません — 皮膚の細胞も傷めるため、消毒より「洗うこと」を優先してください(関連記事: すり傷・切り傷の手当て)
  • ④傷口をふさがない — 密閉性の高い絆創膏で閉じてしまうと、中で細菌が増えやすくなります。清潔なガーゼで軽く覆う程度にしてください
  • ⑤咬んだ動物の情報を控えておく — 飼い猫か野良か、ワクチンの状況、いつ咬まれたか。診療の判断材料になります

咬み傷は、原則としてその場で縫い閉じません。閉じると内部で細菌が増えて悪化するためです。「縫ってもらえなかった」と不安になる方がいますが、これは手抜きではなく、あえて開けておくという判断です。顔など例外的に閉じることもありますが、それは感染の危険と見た目を天秤にかけた判断になります。

また、けがの状況によっては破傷風の予防が検討されます。特に土に汚れた傷や深い傷では、これまでの予防接種の状況を確認します。医療機関で聞かれるので、母子手帳などが手元にあれば持参してください。

診察室でよく聞かれる質問

質問 答え 理由
自分の飼い猫なら大丈夫? 飼い猫でも同じように対応します 問題になるのは動物の健康状態ではなく、口の中にいる常在菌が深く入ることだからです
何科に行けばいい? 皮膚科・外科・救急のいずれでも構いません まず洗浄と感染の評価が必要で、いずれの科でも対応できるためです。手の深い傷は整形外科的な評価が必要になることがあります
お風呂に入っていい? 当日はシャワーで流す程度に 湯船につかると傷がふやけ、細菌が増えやすくなるためです
抗菌薬は必ず出る? 傷の深さと部位によります 深い咬み傷や手の傷では予防的に使うことが多く、浅いひっかき傷では経過をみることもあります
腫れてきたらどうする? 待たずに受診してください 咬み傷の感染は数時間単位で広がることがあるためです

受診の目安

  • 受診を — 動物に咬まれた(傷が小さくても。特に猫・手や指)
  • 早めに受診を — 赤み・腫れ・熱感が広がってきた、ズキズキ痛む
  • 早めに受診を — 膿が出る、傷の周りが硬くなった
  • 早めに受診を — 指が曲げにくい、関節が痛む(深い組織に及んでいる可能性があります)
  • 早めに受診を — 発熱、わきや首のリンパ節が腫れてきた
  • すぐに受診を — 出血が止まらない、傷が大きく開いている、顔を咬まれた、息苦しさやめまいがある(判断に迷うときは#7119)
  • 受診を — 海外で動物に咬まれた(帰国後すぐ、必ず申告してください)

あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。

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参考情報

本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

アマデアル亜琵医師(日本専門医機構認定 皮膚科専門医)

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