「山から帰ったら、靴下が血だらけだった」「足首に黒いナメクジのようなものが吸いついていた」。ヤマビルは、湿った山林で人や動物の血を吸います。痛みが少ないため、気づいたときには血が流れていることが多く、驚いて受診される方も少なくありません。
ヤマビルに吸われるとどうなるか(仕組み)
ヤマビルは、湿った落ち葉の上などで、人や動物の体温や吐く息に反応して近づき、靴や服のすき間から入りこんで吸血します。吸血のときに、痛みを感じにくくする成分と、血を固まりにくくする成分を唾液とともに出すため、吸われていても気づきにくく、離れたあとも血がにじみ続けます。
吸血が終わるとヒルは自然に離れます。傷はY字や三角形の小さな形をしていることが多いです。
症状・見分け
| 時期 | よくある症状 |
|---|---|
| 吸血中〜直後 | 痛みはほとんどない。傷から血がにじみ続ける |
| 数時間〜翌日 | 出血は止まる。かゆみ、赤み、軽い腫れ |
| 数日〜2週間ほど | かゆみが続くことがある。かき壊すと治りにくい |
| 注意が必要なとき | 赤みと腫れが広がる、熱をもって痛む、膿が出る(細菌感染) |
同じ山歩きのあとに、小さな虫が皮膚に食いついて離れない場合は、マダニのことがあります。マダニは無理に取ると口の一部が皮膚に残るため、自分で取らずに受診してください。
治療・セルフケア(吸われたときの手当て)
外し方
- 無理に引っ張らない。吸着が強く、皮膚を傷めることがあります
- 塩、アルコールの消毒液、ヒル用・虫よけのスプレーなどをヒルにかけると、自然に離れます
- ライターなどの火を近づけるのはやけどの危険があるため避けてください
傷の手当て
- 傷を流水でよく洗い、血を固まりにくくする成分を洗い流す
- 清潔なガーゼやハンカチで、傷を数分間しっかり押さえて止血する
- 止まったら絆創膏で保護する。にじんできたら、もう一度押さえる
- かゆみが出たら、冷やすか、市販のかゆみ止めを使う。かき壊さないことが大切です
血をサラサラにする薬を飲んでいる方は、出血が長引きやすいため、圧迫を長めに続けてください。
山歩きの予防
- 湿った時期・雨の後の山林では特に注意する
- ズボンの裾を靴下の中に入れ、すき間をふさぐ
- 靴・靴下・裾に、ヒル用の忌避剤を使う
- 休憩のたびに、足首やすねを確認する
- 帰宅後は服を脱いで全身を確認する
受診の目安
- 押さえても出血が止まらない、何度もあふれるように出る
- 赤みや腫れが日ごとに広がる、熱をもって痛む、膿が出る
- 発熱がある
- かゆみや赤いしこりが何週間も続く
- マダニが食いついている、または取ったあとに熱や発疹が出た
血をサラサラにする薬を飲んでいて出血が止まらない場合や、息苦しさ・全身のじんましんが出た場合は、早めに医療機関を受診してください。夜間・休日に迷ったときは#7119で相談できます。
診察室でよく聞かれる質問
ヒルから病気がうつることはありますか?
日本のヤマビルから感染症がうつることは、ほとんどないと考えられています。ただし、傷をかき壊すと、そこから皮膚の細菌が入って化膿することがあるので、清潔に保ってください。
血が止まらないのは異常ですか?
ヒルの唾液の成分によるもので、ある程度にじみが続くのは普通です。数分間しっかり押さえて、止まるかどうかを確かめてください。
かゆみがいつまでも続きます
ヒルの唾液に対する体の反応で、虫刺されと同じように、かゆみや赤みが続くことがあります。ステロイドの塗り薬で落ち着くことが多いので、つらいときは相談してください。
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-16)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 虫さされ(確認日: 2026-10-16)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ダニ類による感染症(確認日: 2026-10-16)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

