「この湿疹、子どもにうつりませんか?」「乾癬と言われたけど、職場で何か言われそうで不安」。診察室でとてもよく聞かれる質問です。見た目が目立つ病気ほど「うつるのでは」と誤解されやすいのですが、うつるかどうかは見た目ではなく原因で決まります。
うつる・うつらないはどう決まる(仕組み)
人から人へうつるのは、病気の原因が生き物(細菌・ウイルス・カビ・ダニ・シラミ)で、それが皮膚や物を介して別の人に移るときです。
一方、アトピー性皮膚炎や乾癬、じんましんは、体質・免疫の働き・皮膚のバリアの弱さなどから起こる病気です。原因が体の中の仕組みにあるため、触れても相手にうつることはありません。湿疹やニキビの部分を引っかいて細菌が増え、とびひになった場合は、とびひとしてうつることがあります。
症状・見分け(うつる病気とうつらない病気)
| 分類 | 主な病気 | うつり方・注意 |
|---|---|---|
| うつる(細菌) | とびひ | かき壊した手やタオルを介して広がる。じくじくしている間は注意 |
| うつる(ウイルス) | 水いぼ、ウイルス性のイボ、口唇ヘルペス、水ぼうそう、手足口病 | 直接の接触や共用物で。水ぼうそうは空気でもうつる |
| うつる(カビ) | 水虫、たむし、ペットからのカビ | バスマット・スリッパの共用、ペットとの接触 |
| うつる(ダニ・シラミ) | 疥癬、アタマジラミ | 肌と肌の接触、寝具やくしの共用 |
| うつらない | アトピー性皮膚炎、湿疹、じんましん、乾癬、ニキビ、白斑、掌蹠膿疱症、あせも、脂漏性皮膚炎、粉瘤 | 触れても、一緒に入浴してもうつらない |
帯状疱疹は少し特別で、帯状疱疹そのものがうつるわけではありませんが、水ぼうそうにかかったことのない人(特に赤ちゃんや妊婦さん)には、水ぶくれから水ぼうそうとしてうつることがあります。水ぶくれがかさぶたになるまでは、そうした方との接触を控えてください。
治療・セルフケア(うつさないための工夫)
うつる病気でも、治療を始めると多くは早いうちにうつりにくくなります。まず原因に合った治療を受けることが、いちばんの感染対策です。
- タオル・バスマット・くし・枕カバーは、治るまで家族と分ける
- じくじくした部分はガーゼなどで覆い、触った手は石けんで洗う
- 爪を短く切り、かき壊しを防ぐ(とびひの広がりを防ぐため)
- 水虫は家族の誰か一人が持っていると繰り返しやすいので、家族で一緒に確認する
うつらない病気の方は、過度に生活を制限する必要はありません。むしろ「うつるのでは」と周りに誤解されることのほうがつらい場合も多いので、必要に応じて「うつらない病気です」と伝えてよいことを知っておいてください。
受診の目安
- じくじくして、かさぶたやただれが次々に広がる(とびひの可能性)
- 家族にも同じかゆみや発疹が出てきた(疥癬・水虫・シラミなど)
- 発熱を伴う発疹、全身に一気に広がる発疹
- 保育園・学校・プール・仕事に行ってよいか判断に迷う
発熱とともに全身に発疹が出て、ぐったりしている、息苦しいといった場合は、早めに医療機関を受診してください。夜間・休日に迷ったときは#7119(救急安心センター事業)で相談できます。
診察室でよく聞かれる質問
アトピーの子と一緒にプールに入っても大丈夫ですか?
アトピー性皮膚炎はうつりません。一緒に入って問題ありません。ただし、本人の皮膚にとっては塩素が刺激になることがあるため、プールの後はシャワーで流して保湿するのがおすすめです。
水いぼがあるとプールに入れませんか?
プールの水でうつることはないとされ、プールに入ってよいとする考え方が一般的です。ただし、タオル・ビート板・浮き輪の共用は避けます。園や学校の方針が異なることもあるため、確認しておくと安心です。
乾癬はうつると思われて人前に出にくいです
乾癬はうつる病気ではありません。名前の印象や見た目から誤解されやすい病気ですが、温泉やプール、ジムを避ける理由はありません。皮膚の状態を落ち着かせる治療も進んでいますので、気になるときは相談してください。
家族が水虫です。どこまで気をつければいいですか?
バスマットとスリッパを分け、床をこまめに掃除すれば十分なことが多いです。カビ(真菌)は皮膚についてすぐに住みつくわけではないため、毎日足を洗って指の間までよく乾かすことが予防になります。
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-16)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A とびひ(確認日: 2026-10-16)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A イボとミズイボ、ウオノメとタコ(確認日: 2026-10-16)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A ダニ類による感染症(確認日: 2026-10-16)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

