「マスクの当たる頬や鼻の上が赤くヒリヒリする」「あごの周りがかゆくてカサカサする」「耳の後ろがゴムで切れて痛い」。仕事や通院、感染症の流行期などでマスクを長い時間着ける方から多い相談です。マスクによるニキビとは別に、湿疹のような赤み・かゆみも起こります。原因を見分けて、着けながら肌を守る方法を整理します。
マスクで肌が荒れる仕組み
マスクの下の皮膚は、次の3つの負担を同時に受けています。
- こすれ…話す、表情を動かすたびに、マスクの布やふちが皮膚をこすります。鼻の上、頬の高い所、あごは特に当たりやすい場所です。
- 蒸れと乾燥のくり返し…着けている間は息で蒸れてふやけ、外すと一気に水分が逃げて乾燥します。このくり返しで、皮膚のバリアが弱くなります。
- 素材へのかぶれ…ゴムひも、鼻の部分のワイヤー、香りや柄の染料、洗剤や柔軟剤の残りなどに対するかぶれ(接触皮膚炎)が起きることがあります。
診察で多いのはこすれと、蒸れ・乾燥のくり返しです。もともと乾燥肌やアトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎がある方は、マスクをきっかけに悪くなりやすくなります。
症状と見分け方
| 考えられるもの | 見た目・特徴 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| こすれ・刺激 | 赤み、ヒリヒリ、カサカサ | 鼻の上・頬・あごなど、当たる所だけに出る |
| マスクによるニキビ | 毛穴に一致した赤いブツブツ、白い芯 | あご・口の周りに多い。かゆみは少ない |
| 素材へのかぶれ | 強いかゆみ、細かいブツブツ、ジュクジュク | 新しい製品にした後。ゴムが当たる耳の後ろにも出る |
| 脂漏性皮膚炎の悪化 | 小鼻のわき・口の周りの赤みと細かい皮むけ | マスクの範囲外の眉間や生え際にも出る |
| 口の周りの皮膚炎 | 口の周りの細かい赤いブツブツ | 唇のすぐ外側が少しあく。ステロイドを顔に長く塗った後に多い |
口の周りの赤いブツブツは、自己判断でステロイドの塗り薬を続けると悪くなる病気(口囲皮膚炎)のことがあります。顔に塗り薬を長く使っても良くならない場合は、塗り続けずに受診してください。
着けながら肌を守る工夫
- 顔に合うサイズを選ぶ。小さすぎると強くこすれ、大きすぎるとずれて何度も直すことになります。耳が痛い場合は、ひもの長さを調節できるものや、耳にかけないタイプを試します。
- 外せる場面ではこまめに外す。人のいない休憩中などに外して、汗や湿気を逃がします。濡れたままの皮膚は、こすれに弱くなるためです。
- こまめに取り替える。湿ったマスクは刺激が強くなります。汗をかいたら新しいものに替えます。
- 外した後は保湿する。蒸れた後は乾燥しやすいため、刺激の少ない保湿剤で守ります。着ける前に薄く保湿しておくと、こすれがやわらぎます。
- 布マスクは洗剤を残さない。すすぎを十分にし、香りの強い柔軟剤は避けます。
皮膚科での治療
赤みとかゆみの強い湿疹には、炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬)を短期間使います。顔は皮膚が薄いため、顔に合った強さの薬を、期間を決めて使うのが基本です。長く続ける必要がある場合は、ステロイド以外の塗り薬に切り替えることもあります。
素材へのかぶれが疑われる場合は、皮膚に貼って反応を見る検査(パッチテスト)で原因を確かめ、避けるべき素材を探します。脂漏性皮膚炎やニキビが原因の場合は、それぞれに合った治療を行います。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 不織布と布、どちらのマスクが肌にやさしいですか?
A. 一概にどちらとは言えず、肌に合うかどうかは人によります。不織布でこすれる方は、肌に当たる面がやわらかいものや、内側にガーゼをはさむ方法を試してください。布マスクは洗剤や柔軟剤の残りでかぶれることがあります。
Q. 赤くなっている所に化粧をしてもいいですか?
A. ヒリヒリやジュクジュクがある間は、化粧を控えたほうが早く治ります。化粧品がマスクとこすれて、刺激が増えるためです。どうしても必要な場合は、薄く、落としやすいものを選んでください。
Q. 耳の後ろが切れて痛いです。
A. ゴムひもが同じ場所をこすり続けたことによる傷です。ひもを耳にかけない補助具を使う、ひもの位置をずらす、ワセリンで守る、で多くは治ります。ジュクジュクして治らない場合は受診してください。
受診の目安
- 工夫をしても、赤みやかゆみが2週間以上続く
- ジュクジュクする、皮がむけて痛い
- マスクの範囲外まで赤みが広がる
- 顔に塗り薬を使っても良くならない、かえって悪くなる
- 新しいマスクに変えてから、当たる所全体がかゆい
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ(接触皮膚炎)」(確認日: 2026-10-23)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-23)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

