「寒くなって発熱インナーを着はじめたら、腰や背中がかゆい」「セーターを着るとチクチクして掻いてしまう」「脱いだ後、すねが粉をふいている」。気温が下がる10月から冬にかけて、毎年のように増える相談です。暖かさをあきらめずに、かゆみを減らす着方を整理します。
冬に服でかゆくなる仕組み
皮膚のいちばん外側には、水分を保ち、外からの刺激を防ぐ「バリア」の役割をする層(角層)があります。冬は空気が乾燥し、暖房や熱いお風呂も加わって、この層の水分と皮脂が失われやすくなります。
乾燥した皮膚では、かゆみを伝える神経が皮膚の浅いところまで伸びてきて、わずかな刺激でもかゆく感じるようになります。そこに服の刺激が重なると、かゆみが出やすくなります。
- 吸湿発熱素材…体から出る水分を吸って熱に変える仕組みのため、肌の表面がよけいに乾くように感じる方がいます。
- ウールなどのニット…繊維の先端が皮膚をつつき、チクチクした刺激になります。首や手首など、直接触れる場所に出やすくなります。
- 化学繊維の摩擦と静電気…動くたびにこすれて、乾燥した肌には刺激になります。
- 着込みすぎ…暖房の効いた室内で厚着をすると汗をかき、冬でもあせものようなブツブツが出ます。
症状と見分け方
| 考えられるもの | 見た目・特徴 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| 乾燥(乾皮症) | 粉をふく、白っぽい、かゆい | すね・腰・背中・わき腹。服を脱いだ後や入浴後にかゆい |
| 皮脂欠乏性湿疹 | 乾燥した所が赤くなり、ブツブツ・かき傷ができる | 乾燥を放置して掻いた後に出る |
| チクチク刺激 | 赤みは少なく、着ている間だけかゆい | ニットが当たる首・手首。脱ぐとおさまる |
| 冬のあせも | 細かい赤いブツブツ | 厚着や暖房で汗をかいた後。背中・胸に多い |
| かぶれ | 強いかゆみ、ブツブツ、ジュクジュク | 新しい服・洗剤・柔軟剤を使い始めてから。服の形に一致する |
発疹がまったくないのに全身がかゆい場合は、肌の乾燥のほか、内臓の病気や薬が関係していることもあります。長く続くときは受診して原因を確かめましょう。
暖かさをあきらめない着方とケア
- お風呂上がりは早めに保湿する。入浴後は皮膚の水分が急に失われていくため、体を拭いたら早めに保湿剤を塗ります。かゆくなりやすいすね・腰・背中は特に念入りに。
- 肌に一番近い一枚を変える。綿やシルクなど刺激の少ない素材を肌着にして、その上に発熱インナーやニットを重ねると、暖かさを保ちながら刺激を減らせます。
- 室内では着込みすぎない。汗をかくほど暖かくすると、あせもや蒸れの原因になります。暑いと感じたら一枚脱ぎます。
- 新しい服は一度洗ってから着る。製造の過程でついた加工剤を落とすためです。タグが当たってかゆいときは切り取ります。
- 柔軟剤や洗剤は表示どおりの量にする。多すぎると成分が服に残り、刺激になることがあります。
- お風呂は熱すぎない湯で、体はこすらない。ナイロンタオルでこすると、皮脂を落としすぎて乾燥が進みます。
皮膚科での治療
乾燥が中心の場合は、保湿剤(ヘパリン類似物質、ワセリン、尿素など)を肌の状態に合わせて選びます。赤い湿疹になっている場合は、炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬)で先に炎症とかゆみを止め、その後は保湿で良い状態を保ちます。かゆみが強く眠れないときは、かゆみ止めの飲み薬を併用することもあります。
湿疹になってからは保湿剤だけでは治りにくく、掻くとさらに悪化します。早めに炎症を抑えたほうが、治るまでの期間も短く済みます。
診察室でよく聞かれる質問
Q. 化学繊維アレルギーなのでしょうか?
A. 繊維そのものへのアレルギーはまれで、多くは乾燥と摩擦による刺激です。綿の肌着を一枚はさむとかゆみが減るなら、刺激が原因と考えられます。服の染料や加工剤にかぶれることはあるので、特定の服だけで強い湿疹が出る場合は受診してください。
Q. かゆいときは、どうしたらいいですか?
A. 掻くと皮膚が傷つき、かゆみがさらに強くなる悪循環に入ります。かゆい所を保冷剤などで冷やすと、かゆみがやわらぎます。爪は短く切っておきましょう。
Q. 子どもにも発熱インナーを着せて大丈夫ですか?
A. 子どもは汗をかきやすいため、厚着で汗をかいてかゆくなることがあります。活動量に合わせて、着せすぎないように気をつけてください。
受診の目安
- 保湿を2週間ほど続けても、かゆみがおさまらない
- 赤い湿疹が広がる、ジュクジュクする
- かゆみで眠れない、掻き傷がたくさんできている
- 発疹がないのに全身のかゆみが続く
- 特定の服を着たときだけ強い湿疹が出る
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「かぶれ(接触皮膚炎)」(確認日: 2026-10-21)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-21)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

