「耳のふちに小さなかさぶたのようなものができて、なかなか取れない」「そっちの耳を下にして寝ると、痛くて目が覚める」「触ると硬くて、押すとズキッとする」。中高年の方、とくに男性に多く見られます。小さなしこりなのに痛みが強いのが特徴で、睡眠に影響が出て受診される方が多い病気です。
結節性耳輪軟骨皮膚炎とは(仕組み)
耳のふち(耳輪)は、薄い皮膚のすぐ下に軟骨がある場所です。皮膚の下に脂肪のクッションがほとんどなく、血の流れも多くありません。
同じ側を下にして寝る習慣があると、枕と頭の間で耳のふちが長時間押しつぶされ、皮膚と軟骨の血の流れが悪くなります。これが繰り返されると、皮膚と軟骨に小さな傷みと炎症が起こり、硬いしこりになると考えられています。電話の受話器を同じ耳に押し当てる、ヘッドホンや帽子で圧迫される、寒さにさらされる、といったことも関係するとされています。
軟骨の表面の膜には神経が多く、ここに炎症が及ぶため、小さなしこりでも強い痛みが出ます。
症状・見分け方
典型的な症状は次のとおりです。
- 耳のふち(上のほうの耳輪や、その内側の対輪)に、数ミリの硬い盛り上がりができる
- 中心に小さなかさぶたやくぼみがあり、はがしてもまたできる
- 押すと痛い。とくにその側を下にして寝ると痛くて眠れない
- 多くは片側だけで、いつも下にして寝る側の耳にできる
耳のふちは日光がよく当たる場所でもあり、皮膚がんやその手前の状態ができやすい場所です。見た目が似ているものとの違いは次のとおりです。
| 病気 | 特徴 | 痛み |
|---|---|---|
| 結節性耳輪軟骨皮膚炎 | 耳のふちの小さな硬いしこり。中心にかさぶた。寝る側にできる | 強い(とくに圧迫時) |
| 日光角化症 | カサカサした赤い斑。かさぶたがついたり取れたりする | ないことが多い |
| 有棘細胞癌 | 硬い盛り上がりが大きくなる。ただれ、出血しやすい | あることもある |
| 基底細胞癌 | 黒っぽい、または光沢のある盛り上がり。中心がくずれることがある | ないことが多い |
| 粉瘤 | 皮膚の下の丸いしこり。中央に黒い点。耳たぶや耳の後ろに多い | 炎症を起こすと痛い |
見た目だけで区別がつかないことがあるため、皮膚科ではダーモスコピー(皮膚を拡大して見る道具)で観察し、必要に応じて皮膚の一部を取って顕微鏡で調べる検査(病理検査)を行います。
治療
治療の基本は、原因である圧迫を取り除くことです。圧迫を減らすだけで痛みがやわらぎ、しこりが小さくなることもあります。
- 寝るときに耳に圧をかけない: 反対側を下にして寝る、中央に穴の開いたドーナツ型のクッションや、耳の部分をくりぬいた枕を使う。スポンジやタオルを丸めて、耳が浮くように工夫する方法もあります
- ステロイドの塗り薬・注射: 炎症を抑えて痛みをやわらげます。圧迫を減らす工夫と組み合わせます
- 手術: 圧迫を避けても治らない場合や、繰り返す場合は、しこりの部分の皮膚と、その下の傷んだ軟骨を小さく切り取ります。局所麻酔で行う日帰りの手術で、取ったものは病理検査に出して診断を確かめます
手術をした場合も、同じように圧迫を受け続けると近くに再発することがあります。治療後も、寝るときの工夫は続けてください。
受診の目安
- 耳のふちに硬いしこりがあり、押すと痛む
- かさぶたが取れては、また同じ場所にできる
- しこりが大きくなってきた、出血する、ただれている
- 痛みで眠れない
耳の痛みが強く、耳全体が赤く腫れて熱をもつ、熱が出るといった場合は、別の感染症の可能性があるため早めに受診してください。耳の中の痛みや聞こえにくさがある場合は、耳鼻科の受診が適しています。
よくある質問
寝るときの向きは、どうしても変えられません。どうしたらいいですか?
寝る向きを完全に変えるのは難しいものです。その場合は、ドーナツ型のクッションや、耳の部分をくりぬいた枕を使い、横向きでも耳が直接押されないようにしてください。市販の円座クッションや、スポンジを丸く切り抜いて使っている方もいます。
しこりを自分で削ったり、かさぶたをはがしたりしてもいいですか?
削ったりはがしたりしても、下の軟骨の炎症は治らず、かえって傷が深くなったり、細菌が入ったりする原因になります。触らずに、圧迫を減らす工夫を続けて受診してください。
手術のあと、耳の形は変わりますか?
しこりの部分だけを小さく切り取るため、多くは見た目の変化はわずかです。取る範囲が大きくなる場合は、事前に耳の形への影響について説明を受けてください。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-10-02)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-10-02)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

