「日焼けしたら、背中だけ白く抜けた」「胸に薄茶色の斑ができて、境目がはっきりしている」——夏から秋にかけて相談が増えます。白い斑点と聞くと白斑(尋常性白斑)を心配される方が多いのですが、実際には癜風であることがよくあります。
癜風とはどんな病気か
癜風の原因はマラセチアというカビ(真菌)です。特別なところからうつってくるものではなく、もともと誰の皮膚にもいる常在菌で、皮脂を栄養にして増えます。汗と皮脂が多い環境で増えすぎたときに、皮膚の色が変わって見えるようになります。
色が変わるのは、マラセチアが出す物質がメラニン(皮膚の色のもと)をつくる働きを邪魔するためと考えられています。白く抜けたところは、色素が壊れたのではなく色をつくる働きが一時的に落ちている状態です。ここが白斑との大きな違いで、癜風の白さは治療のあとに戻っていきます。
多いのは10代後半から30代で、皮脂の分泌が多い時期と重なります。汗をかくスポーツをする方、蒸れやすい服装が続く方に出やすく、夏に目立ち、冬に落ち着くという季節の波があります。うつる力は強くなく、日常の接触で家族に広がることは通常ありません。
症状と、似た病気との見分け
典型的なのは、背中・胸・首・肩に出る、直径数ミリから1センチほどの斑です。白っぽいタイプと、薄茶色〜赤茶色のタイプがあり、同じ人に混ざって出ることもあります。表面をこすると細かい粉(鱗屑)がふけのように出るのが手がかりです。かゆみはないか、あってもごく軽い程度です。
| 病気 | 色と形 | かゆみ | 表面 | 場所 |
|---|---|---|---|---|
| 癜風 | 白 or 薄茶。境目がはっきり、多発して融合する | ほぼなし | こすると細かい粉が出る | 背中・胸・首・肩 |
| 白斑(尋常性白斑) | 真っ白に完全に色が抜ける | なし | 粉は出ず、なめらか | 手指・顔・体のどこでも |
| マラセチア毛包炎 | 赤い小さなブツブツ(毛穴に一致) | 軽いかゆみ | 盛り上がりがある | 背中・胸・肩 |
| 体部白癬(たむし) | 輪のように広がりふちが赤く盛り上がる | かゆい | ふちに粉・小さな水ぶくれ | 体幹・手足 |
| 炎症のあとの色素脱失 | 湿疹やあせものあとが白っぽい | なし | なめらか | もとの湿疹があった場所 |
診断は、粉を少し採って顕微鏡で見ると、その場でマラセチアの形が確認できます。見た目だけで白斑と決めてしまわないために、この検査には意味があります。白斑と癜風では治療も見通しもまったく違うためです。
治療とセルフケア
治療は抗真菌薬(カビを抑える薬)の塗り薬が基本です。範囲が広い場合や、外用を続けても改善しない場合に、飲み薬が検討されることがあります。まずは外用から始め、経過を見て判断するのが一般的な流れです。
- 塗る範囲は「見えている斑より広め」 — 目に見えない範囲にもマラセチアが広がっているため、斑の上だけだと取り残しになります
- 指示された期間は、見た目がよくなっても続ける — 菌が減っても、途中でやめると再び増えやすいためです
- 色の戻りは遅れます — 粉が出なくなり、広がりが止まれば治療としては効いています。白く抜けた部分がもとの色に戻るには、数か月かかることがあります。焦って薬を追加する必要はありません
- 汗をかいたら早めに洗い流し、乾いた服に着替える — 皮脂と汗はマラセチアの栄養と住みやすさそのものだからです
- 再発しやすい病気です。夏場だけ症状が出る方は、季節の前に相談しておくと対応しやすくなります。マラセチアは常在菌なので、ゼロにするのではなく増えすぎないように付き合っていくという考え方になります
診察でよく聞かれるのが「日焼けしても大丈夫か」です。日焼けそのものが悪化させるわけではありませんが、周りの皮膚が濃くなるぶん白い斑がかえって目立ちます。治療中は、色の差を広げないという意味でも日焼け対策をしておくとよい理由がここにあります。
受診・相談の目安
- 背中や胸の色の変化が広がってきた
- 市販の水虫薬を塗っても2週間で変化がない
- 白斑かどうかを確かめたい(顕微鏡での確認ができます)
- 毎年同じ季節に繰り返す
- 赤いブツブツやかゆみを伴う(別の病気が混じっている可能性があります)
色の抜けた部分が手指や口のまわりにも広がる、髪や眉が白くなるといった変化があるときは、癜風とは別の病気を考えたほうがよい状況です。早めに皮膚科で確認してください。
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 白癬(確認日: 2026-09-11)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A一覧(確認日: 2026-09-11)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

