「インターネットで調べたら、手のひらが赤いのは肝臓が悪いサインと書いてあった」「かゆみが続くので、内臓の病気ではないかと心配」。皮膚は内臓の状態が表に出る場所のひとつで、こうした心配はもっともです。一方で、ひとつの症状だけで肝臓の病気と決めつける必要はありません。どんな組み合わせのときに注意すればよいかを整理します。
肝臓と皮膚の関係(なぜ皮膚に出るのか)
肝臓には、体の中の不要なものを処理して胆汁(たんじゅう)として排出する働きや、ホルモンを分解する働きがあります。肝臓の働きが落ちると、次のようなことが起こります。
- 胆汁の流れが悪くなる — 胆汁の成分が血液中にたまり、かゆみや、皮膚・白目が黄色くなる黄疸が起こる
- ホルモンの分解が追いつかなくなる — 血管が広がりやすくなり、クモ状の赤い点や手のひらの赤みが出ることがある
- 血を止める力が落ちる — ぶつけた覚えのないあざができやすくなることがある
皮膚に出るサインと見分け方
| 皮膚のサイン | どんな見た目か | 肝臓以外で多い理由 |
|---|---|---|
| 全身のかゆみ | 発疹がはっきりしないのに、手のひら・足の裏を含めて全身がかゆい | 乾燥肌がもっとも多い。腎臓病・甲状腺の病気・薬でも起こる(関連記事: 発疹がないのにかゆい) |
| 黄疸 | 皮膚が黄色く、白目も黄色い | みかんやにんじんを多くとると皮膚は黄色くなるが、白目は黄色くならない(関連記事: 柑皮症) |
| クモ状の赤い点 | 顔・首・胸・腕に、中心から細い血管が放射状に広がる赤い点。中心を押すと消える | 妊娠中や子ども、健康な人にも1〜2個はみられることがある |
| 手のひらの赤み | 手のひらの親指・小指の付け根のふくらみが、まだらに赤い | 体質・妊娠・甲状腺の病気などでもみられる(関連記事: 手のひらが赤い) |
| あざができやすい | ぶつけた覚えのない紫のあざ | 年齢による皮膚の変化や、血液をサラサラにする薬で多い(関連記事: 老人性紫斑) |
注意したいのは、「白目が黄色い」ときと、「いくつかのサインが同時に出ている」ときです。白目の黄色は肝臓や胆道(胆汁の通り道)の病気を強く疑うサインで、皮膚の病気ではありません。また、お酒をよく飲む方で、クモ状の赤い点が増えてきた、手のひらが赤い、だるさがある、といった組み合わせがある場合も、内科での血液検査をおすすめします。
治療と自分でできる対処
皮膚の症状の治療より、まず肝臓の病気の治療が先です。原因の病気が落ち着くと、皮膚の症状も軽くなることが多いためです。
- かゆみ — 保湿を基本に、肝臓の病気によるかゆみに使える飲み薬(ナルフラフィン)がある。胆汁の成分を腸で吸着して排出させる薬が使われることもある
- クモ状の赤い点 — 放っておいて問題はない。見た目が気になる場合は、レーザー治療の対象になることがある(関連記事: 毛細血管拡張症)
- 黄疸 — 皮膚の治療ではなく、原因の病気の治療が必要
市販のかゆみ止めの飲み薬や、サプリメント・健康食品を自己判断で追加しないでください。肝臓の働きが落ちていると薬の分解が遅くなることがあり、サプリメントや健康食品の中には肝臓に負担をかけるものもあるためです。
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 手のひらが赤いのですが、肝臓が悪いのでしょうか? | 手のひらの赤みだけなら、体質であることが多いです | 健康な人にもよくみられるためです。白目の黄色やだるさなど、ほかの症状がある場合や、健康診断で肝臓の数値を指摘されている場合は内科へ |
| 皮膚科と内科、どちらに行けばいいですか? | 白目が黄色い・だるい・尿の色が濃いなら内科、皮膚の症状だけなら皮膚科 | 黄疸は皮膚ではなく肝臓・胆道の問題のためです。皮膚科を受診した場合でも、必要に応じて内科へ紹介されます |
| かゆいときはどうしたらいいですか? | 冷やしてください | 保冷剤をタオルで包んで当てると、かゆみが弱まるためです。熱いお風呂は体が温まってかゆみが強くなるので、ぬるめにしてください |
受診の目安
- 受診を — かゆみが続き、保湿をしてもよくならない
- 早めに内科の受診を — 白目が黄色い、尿が紅茶のように濃い、便の色が白っぽい
- 早めに内科の受診を — だるさ・食欲低下とともに、クモ状の赤い点や手のひらの赤みが増えてきた
- すぐに救急へ — 血を吐いた、黒い便が出た、意識がぼんやりしている場合は119番へ。判断に迷うときは、救急安心センター(#7119)に相談してください
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A(確認日: 2026-09-26)
- 日本皮膚科学会 ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-26)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

