「脚にコリコリした硬いものがあり、いつからか分からない」「虫に刺されたところが硬いまま残っている」——痛みもなく変化もないため、健診や別の受診のついでに相談されることの多いできものです。
どういうものか
皮膚の真皮で、線維をつくる細胞(線維芽細胞)とコラーゲンが増えてできた良性の腫瘍です。虫刺されや小さな傷、毛を抜いたあとなどの刺激をきっかけに生じると考えられることがありますが、心当たりがない場合も多くあります。
成人、とくに女性の下腿(すね)に多いとされています。できたあとは、あまり大きさが変わらないまま長期間そのまま残るのが一般的な経過です。がんに変化するものではありません。
見た目と触った感じの特徴
- 大きさ——多くは5〜10mm程度。1cmを大きく超えるものは、あらためて確認が必要です
- 硬さ——硬く、皮膚の中でしっかりした感触があります
- 色——褐色〜赤褐色のことが多く、周囲より濃く見えます
- 形——わずかに盛り上がる、または平ら。境界は比較的はっきりしています
- ディンプルサイン——両側からつまむと、中央がへこむ(えくぼのようになる)のが特徴的な所見です
- 症状——ふつうは痛みがなく、ときにかゆみや、押したときの軽い痛みを感じる程度です
- 数——1個のことが多いものの、複数できることもあります
ほかのできものとの違い
| 皮膚線維腫 | 粉瘤 | 脂肪腫 | ほくろ | |
|---|---|---|---|---|
| 硬さ | 硬い | 弾力がある | 柔らかい | 皮膚と同じ |
| 深さ | 皮膚の中(真皮) | 皮膚の中に袋 | 皮下(深い) | 表面 |
| 大きさの変化 | ほぼ変わらない | 徐々に大きくなる | ゆっくり大きくなる | 変わらない |
| 特徴的な所見 | つまむとへこむ | 中央に黒い点・においのある内容物 | 境界がやわらかく可動性 | 色が均一 |
| 炎症 | 起こさない | 赤く腫れて痛むことがある | ふつうなし | なし |
「大きくなるか」「柔らかいか」「中央に黒い点があるか」で、おおよその方向性が分かれます。ただし見た目が似るものがあるため、最終的な判断は診察と、必要に応じた検査によります。ダーモスコピー(拡大鏡での観察)が有用です。
治療は必要か
皮膚線維腫は良性で、症状がなければ治療せず経過を見て差し支えないことがほとんどです。取る判断がされるのは、次のような場合です。
- 診断をはっきりさせたい——見た目で判断がつかない場合、切除して顕微鏡で調べます
- 大きくなってきた、色が変わってきた
- 衣類や剃毛でこすれて、繰り返し傷ついたり出血したりする
- 痛みやかゆみがある
- 見た目が気になる
切除する場合は局所麻酔での手術となり、取ったものは顕微鏡で調べられます。注意点として、皮膚線維腫はしこり自体より傷あとのほうが目立つことがあります。とくにすねは傷あとが残りやすく、盛り上がった跡(肥厚性瘢痕)になることもある部位です。「取ったほうが目立たなくなるか」を、部位ごとに考えたうえで決めるのが現実的です。
また、自分で削る・つぶす・毛抜きでいじるといった対処はしないでください。出血や感染、跡が残る原因になります。
受診の目安
- しこりが大きくなっている、硬さや色が変わってきた
- 出血する、じくじくする、治らない
- 痛みがある、急に赤く腫れた
- 1cmを超える、境界がぼやけている、形が不整
- 数が急に増えた
- 診断をはっきりさせたい、取る選択肢を知りたい
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。皮膚外科を軸に、「取るべきものか、そのままでよいものか」を、部位ごとの傷あとの残り方まで含めてご相談いただける体制を準備しています。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「皮膚悪性腫瘍」(確認日: 2026-09-09)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「ホクロ」(確認日: 2026-09-09)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

