「まぶたのしこりを、霰粒腫と言われて何度か治療したけれど、また同じ場所にできた」「最近、まぶたのふちのまつ毛が抜けている」。まぶたのしこりの多くは良性の霰粒腫ですが、年齢を重ねてからのしこりの中には、見た目がよく似た脂腺癌が隠れていることがあります。
脂腺癌とは(仕組み)
皮膚には、皮脂を出す脂腺という組織があります。まぶたには、マイボーム腺という特別な脂腺が並んでいて、涙が蒸発しないように油を出しています。脂腺癌は、この脂腺から生じるがんで、まぶたに最も多くできます。
霰粒腫は、同じマイボーム腺の出口がつまって、中に脂がたまって炎症が起こる良性のしこりです。どちらも同じ腺から生じるため、見た目や場所がとてもよく似ています。脂腺癌は60代以降に多く、上まぶたにできやすいとされています。
症状・見分け
| 項目 | 霰粒腫(多い) | 脂腺癌(まれ) |
|---|---|---|
| 年代 | どの年代にも | 中高年、とくに60代以降 |
| しこり | 丸く、なめらか | やや黄色っぽい、硬い、表面が不整 |
| 経過 | 数週〜数か月で小さくなる、治療で治る | ゆっくり大きくなる。治療しても同じ場所に繰り返す |
| まつ毛 | 変化はないことが多い | しこりの部分のまつ毛が抜ける |
| まぶたのふち | 変化はないことが多い | 赤み、ただれ、厚くなる。結膜炎やまぶたの炎症(眼瞼炎)のように見えることも |
見た目だけで確実に区別することはできません。とくに「中高年」「同じ場所に繰り返す」「まつ毛が抜ける」の3つが重なるときは、検査をして確かめることが勧められます。
治療・セルフケア
診断: 組織の検査(生検)
しこりの一部、または全部を取って顕微鏡で調べる検査(病理検査)で診断します。霰粒腫として手術をした場合でも、繰り返すものや年齢的に気になるものは、取り出した組織を病理検査に出しておくことが大切です。
治療: 手術で取りきる
脂腺癌と診断された場合は、周りの正常な部分を含めて、しこりを手術で取りきることが基本です。まぶたは目を守る大切な場所なので、取ったあとにまぶたの形と働きを保つための再建も合わせて行います。眼科、形成外科、皮膚科が連携して治療することが多い病気です。
まれに、近くのリンパ節や、ほかの臓器に広がることがあるため、治療前後には画像検査で広がりを確かめ、治療後も定期的に経過を見ていきます。
自分でしないこと
- しこりを押したり、潰そうとしたりしない: 炎症が強くなったり、診断が難しくなったりするためです
- 市販の目薬だけで長く様子を見ない: しこりが小さくならないまま数か月たつ場合は、受診してください
受診の目安
- まぶたのしこりが、数か月たっても小さくならない
- 霰粒腫と言われて治療したのに、同じ場所に繰り返しできる
- しこりの部分のまつ毛が抜けてきた
- まぶたのふちの赤みやただれが、片側だけ長く続いている
- しこりが黄色っぽく、硬く、少しずつ大きくなっている
- 目の見え方の変化や、目の強い痛みがある(眼科を早めに受診してください)
診察室でよく聞かれる質問
まぶたのしこりは、皮膚科と眼科のどちらに行けばいいですか?
まぶたの内側(目の粘膜側)のしこりや、目の症状を伴う場合は、眼科を受診してください。まぶたの皮膚の表面のしこりは、皮膚科でも相談できます。脂腺癌が疑われる場合は、眼科や形成外科と連携して検査と治療を進めます。
霰粒腫と言われましたが、脂腺癌が心配です。どうすればいいですか?
霰粒腫は非常に多い病気で、多くはそのとおり良性です。ただし、治療しても繰り返す、年齢的に気になるといった場合は、医師に「病理検査をしてほしい」と伝えてかまいません。
手術のあと、まぶたの形は元に戻りますか?
取る範囲によって変わりますが、まぶたの働きと見た目をできるだけ保つ再建の方法があります。手術の前に、取る範囲と再建の方法について、担当の医師とよく相談してください。
関連ページ
参考情報
- 日本眼科医会 目の健康情報(確認日: 2026-10-13)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 皮膚悪性腫瘍(確認日: 2026-10-13)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

