「風邪のあと、子どもの足に赤い点々が出た」「立ち仕事のあと、すねに紫のぶつぶつが増える」——IgA血管炎(アレルギー性紫斑病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病とも呼ばれます)は、子どもに多いものの、大人にも起こります。見た目のわりに本人は元気なことが多く、受診が遅れがちです。
IgA血管炎とは: 皮膚の細い血管に炎症が起きる
感染などをきっかけに免疫が反応し、IgAという抗体を含む免疫の複合体が、細い血管の壁にくっついて炎症を起こす病気です。血管の壁がもろくなって血がにじむため、押しても色が消えない紫斑になります。
細い血管は皮膚だけでなく、腸と腎臓にもあります。だから同じことが腸で起これば腹痛や血便、腎臓で起これば血尿やたんぱく尿として現れます。皮膚科でこの病気を診るときに、必ず尿検査をして、おなかの様子を聞くのはこのためです。
きっかけとして多いのは、発症の1〜3週間ほど前の、のどの風邪などの感染です。薬や食べ物が引き金になることもありますが、原因がはっきりしないことも珍しくありません。人にうつる病気ではありません。
症状・見分け: 「押しても消えない」が決め手
いちばん簡単な見分け方は、透明なコップの底やガラス板で押してみることです。赤みが消えれば血管が開いているだけ(じんましんや湿疹)、消えなければ血が漏れ出している紫斑です。
| 病気 | 押すと | 出る場所 | 手がかり |
|---|---|---|---|
| IgA血管炎 | 消えない | すね・足首・お尻。左右対称で、下半身に多い | 少し盛り上がって触れる。関節の痛み・腫れ、腹痛を伴うことがある |
| じんましん | 消える | 全身どこでも | 数時間で場所を変えて消える(関連記事: じんましんと湿疹の違い) |
| 虫さされ | 消える | 露出部にばらばら | 強いかゆみ、中心に刺し口 |
| 老人性紫斑 | 消えない | 前腕・手の甲 | 高齢者。平らで、ぶつけた記憶があることも(関連記事: 高齢者の内出血) |
| 血液の病気による紫斑 | 消えない | 全身・口の中・点状 | 歯ぐきの出血、鼻血が止まらない、あざが多い → 急いで受診 |
皮膚の紫斑は、ふつう1〜2週間で色が落ちていきますが、新しい紫斑が波のように出ては消えるのを数週間くり返すことがあります。これは経過として想定の範囲で、そのたびに悪化したわけではありません。
治療と、家での過ごし方
皮膚の症状だけなら、特別な薬を使わずに自然に軽快することが多い病気です。治療の中心は、薬で紫斑を消すことではなく、合併症を見逃さないための定期的なチェックにあります。
- 安静と足を上げること — 立っている時間が長いと下半身に紫斑が増えます。ただし厳格な絶対安静が経過を良くするという根拠は乏しく、無理のない範囲で構いません
- 痛みや関節症状への対応 — 痛みが強いときは鎮痛薬を使います。腹痛が強い場合や症状が重い場合には、ステロイドの内服が検討されます
- 尿検査のくり返し — ここがいちばん大切です。腎臓の症状は皮膚より遅れて、発症から数週間〜数か月後に出てくることがあります。皮膚がきれいになっても、指示された期間は尿検査を続けてください
- 学校・仕事 — 元気であれば通えます。うつる病気ではないので、出席を止める必要は基本的にありません
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 何科にかかればいい? | 子どもは小児科、大人は皮膚科でよい | 診断は皮膚で、管理は尿と腹部。必要に応じて連携します |
| 入浴は? | してよい。熱い湯・長風呂は避ける | 温めると血管が開き、紫斑が目立つことがあるためです |
| 運動はしていい? | 痛みがなければ日常生活は可。激しい運動は様子を見て | 下半身に負荷がかかると紫斑が増えやすいためです |
| 跡は残る? | 色素沈着がしばらく残ることがあるが、徐々に薄くなる | 血液の色素が皮膚に残るためです |
| 再発する? | 数か月以内に再発することがある | 再発しても、同じように尿と腹部を確認すれば対応できます |
| 食べ物の制限は要る? | 原則不要 | 特定の食品が原因と確認された場合を除き、制限の根拠はありません |
受診の目安
- 数日以内に受診 — 押しても消えない点々がすね・足首・お尻に出てきた(元気でも受診してください。尿検査が必要です)
- その日のうちに受診 — 関節が腫れて歩きにくい/紫斑が急速に増える/発熱を伴う
- すぐに受診・救急を考える — 強いおなかの痛み、くり返す嘔吐、血便・黒い便(腸の合併症のことがあります)/尿が赤い・コーラ色、尿の量が減る、まぶたのむくみ(腎臓の合併症のサインです)/口の中の出血や鼻血が止まらない
- 夜間・休日で判断に迷うときは救急安心センター(#7119)が利用できます
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A(確認日: 2026-09-13)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-13)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

