「一生付き合う病気だから、塗り続けるしかない」と考えている方は少なくありません。たしかに乾癬は完全になくす方法がまだない病気ですが、この20年で治療の幅は大きく変わりました。ここでは、どういう状態のときに何を検討するのか、順番を整理します。
乾癬とは: 皮膚の入れ替わりが速まりすぎる病気
乾癬では、免疫の信号が過剰に働き、皮膚が本来より速いペースで作られて積み上がります。その結果、厚く盛り上がった赤い斑の上に、白いうろこ状のもの(鱗屑)がつきます。ひじ・ひざ・頭皮・お尻など、こすれる場所に出やすいのが特徴です。
大切な点が2つあります。①人にうつる病気ではありません。感染症ではなく、免疫の働き方の問題です。②皮膚だけの病気ではありません。一部の方では関節に炎症が起き(関節症性乾癬)、放置すると関節の変形につながることがあります。また、生活習慣病や心血管の病気との関連も指摘されており、皮膚の治療と並行して、体全体を診る視点が必要です(関連記事: 乾癬とは)。
治療の段階(どこから次へ進むか)
| 段階 | 主な方法 | 向いている状態 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 1. 外用療法 | ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬、その配合剤 | 範囲が限られている | 塗る面積が広いと現実的に続かない |
| 2. 光線療法 | 紫外線を当てる治療(ナローバンドUVBなど) | 外用で足りない、広い範囲 | 通院の回数が必要(関連記事: 光線療法) |
| 3. 内服薬 | 免疫を調整する内服、レチノイド系の内服、炎症の信号を抑える新しい内服薬 | 中等症以上、通院が難しい方 | 薬ごとに定期的な血液検査が必要。妊娠に関する制限があるものもある |
| 4. 生物学的製剤 | 注射・点滴で、炎症の中心となる物質をねらって抑える | 重症、関節症状がある、ほかで効果不十分 | 感染症の事前確認が必須。費用が高額 |
進む順番は決まっていますが、「関節が痛む」場合は例外です。関節の炎症は皮膚と違って後戻りできない変化を残すことがあるため、皮膚の範囲が狭くても、早い段階で全身的な治療を検討します。指がソーセージのように腫れる、朝に関節がこわばる、かかとが痛む——これらは必ず伝えてください。
生物学的製剤について知っておきたいこと
- 何をする薬か — 乾癬の炎症を起こす特定の物質(TNF、IL-17、IL-23など)の働きを狙って抑えます。全身の免疫をまるごと落とすのではなく、関わりの深い経路にしぼって作用するのが考え方です
- 始める前の確認 — 結核・B型肝炎などの感染症の検査が必須です。体の中で眠っている感染が、免疫を抑えることで動き出すことがあるためです
- 使い方 — 種類によって、点滴で行うもの、医療機関での皮下注射、自宅での自己注射があります。間隔も薬ごとに異なります
- 注意すること — 感染症にかかりやすくなることがあり、発熱や体調不良のときは自己判断で続けず連絡してください。予防接種の種類にも制限があります
- 費用 — 保険が適用されますが、自己負担は高額になります。高額療養費制度の対象になる場合があり、加入している健康保険で手続きを確認してください。医療機関の相談窓口でも案内が受けられます
- どこで受けられるか — 生物学的製剤の使用には、施設の承認が必要とされています。かかりつけの皮膚科から、対応している医療機関へ紹介される流れが一般的です
診察室でよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| 強い薬を使うと、あとで効かなくなる? | 効果が弱まる場合は、別の経路の薬へ切り替えられます | 作用する物質が異なる薬が複数あるためです。温存する理由にはなりません |
| やめたら元に戻る? | 再燃することが多い病気です | 免疫の働き方そのものが背景にあるためです。減量や中止は経過を見ながら判断します |
| お酒・たばこ・体重は関係する? | 関係します。とくに喫煙と肥満 | 炎症を後押しし、治療の効きにも影響することが知られているためです |
| お風呂・温泉は? | 入ってよい。こすらない | こすると新しい皮疹ができることがあります(傷や刺激の場所に出やすい性質があるため) |
| 頭皮の乾癬がフケと区別つかない | 診察で区別できます | 厚い鱗屑と境界のはっきりした赤みが手がかりです(関連記事: 頭皮のかゆみ) |
| 爪の変形も乾癬? | 乾癬で爪に変化が出ることがあります | 爪の症状は関節症状と関連することがあり、重要な情報です(関連記事: 爪の乾癬) |
受診の目安
- 相談を — 外用薬を続けても範囲が広がる/塗る面積が広くて続けられない/頭皮・爪・顔など、生活や仕事に支障がある部位に出ている
- 早めに受診 — 関節の痛み・こわばり・指の腫れがある/かかとやアキレス腱の痛みが続く
- その日のうちに受診 — 全身が赤くなって広がる/膿をもった発疹が急に多発し、発熱を伴う(入院が必要な型のことがあります)
- 治療中の注意 — 免疫を抑える治療を受けている方で、高熱・強い咳・息苦しさが出たときは、待たずに主治医へ連絡してください。夜間・休日で判断に迷うときは救急安心センター(#7119)が利用できます
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
関連ページ
参考情報
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-13)
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A(確認日: 2026-09-13)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

