DERMATOLOGY GUIDE | GENERAL DERMATOLOGY
「ベッドの柵にぶつけただけで、腕の皮がめくれた」「テープをはがしたら、皮膚ごとはがれた」——介護の現場ではよく起こることですが、ご家族が驚いて、めくれた皮膚を切り取ってしまうことがあります。これは治りを遅くします。ここでは、その場の対応と、起こさないための備えを整理します。
目次
なぜ起こるのか: 年齢とともに皮膚の「接着」が弱くなる
皮膚は、表面の表皮と、その下の真皮が接着してできています。加齢によって、この接着が弱くなり、真皮そのものも薄く、支えるコラーゲンも減ります。結果として、若い人なら赤くなるだけの力でも、表皮が真皮からずれるように剥がれてしまいます。
起こりやすくなる条件が重なると、リスクはさらに上がります。
- 乾燥している皮膚 — 弾力がなく、ずれに弱くなります
- ステロイドの長期内服、抗凝固薬(血をさらさらにする薬) — 皮膚が薄くなる、内出血しやすい
- 紫斑が出やすい方 — 血管を支える組織も弱っているサインです(関連記事: 高齢者の内出血)
- 移乗・更衣の介助、点滴や心電図のテープ、ベッド柵や車いすへの接触
- 認知症や視力の低下 — ぶつけたことに気づきにくい
起きたときの手当て(順番が大事)
| 手順 | やること | やってはいけないこと |
|---|---|---|
| 1. 止血 | 清潔なガーゼでやさしく圧迫。10分ほど押さえる | 強くこする。何度も見るために手を離す |
| 2. 洗う | 水道水か生理食塩水で、汚れを洗い流す | 消毒液をかける(新しくできた細胞まで傷めます) |
| 3. 皮膚を戻す | めくれた皮膚を、湿らせた綿棒などで元の位置へ広げて戻す | 切り取る・丸めたまま放置する |
| 4. 覆う | くっつきにくい(非固着性の)ガーゼや被覆材で覆う | 普通のガーゼを直接当てる(次に外すとき、また剥がれます) |
| 5. 固定 | 包帯や筒状ネットで押さえる。テープは皮膚に貼らない | 皮膚に直接テープを貼る |
| 6. 受診 | 当日〜翌日に受診。戻した皮膚の向きを医師に伝える | そのまま放置して様子を見る |
「消毒しないと不潔では?」とよく聞かれますが、流水でしっかり洗い流すほうが、消毒液をかけるより感染を防げます。消毒液は細菌だけでなく、傷を治そうとしている細胞にも作用するためです(関連記事: すり傷・切り傷の正しい手当て)。
起こさないための備え
- 1日2回の保湿 — 腕と下肢を中心に、たっぷり塗る。皮膚の乾燥を減らすだけで発生が減ることが知られています
- 長袖・レッグウォーマー・アームカバー — 物理的に覆うのが最も確実です。転倒予防のプロテクターも役立ちます
- テープの使い方を変える — 皮膚に直接貼らず、包帯やネットで固定する。はがすときは皮膚を押さえながら、ゆっくり水平方向にはがす。剥離剤を使う方法もあります
- 環境を整える — ベッド柵や車いすのアームレストにカバーをつける。家具の角を保護する。爪を短く整える(介助者の爪も)
- 持ち上げ方 — 腕や手首をつかんで引っぱらない。体の下から支えるように介助します
介護をされている方からよく聞かれる質問
| 質問 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| めくれた皮膚が乾いてしまった | そのままにして受診を。無理に引っぱらない | 乾いていても、覆いとして働くことがあります。判断は診察で行います |
| 入浴はできる? | できます。石けんはやさしく、こすらない | 清潔にするほうが感染を防げます。熱い湯と長風呂は避けてください |
| 治るまでどれくらい? | 浅ければ1〜2週間。皮膚を戻せたほうが早い | 戻した皮膚が生着すると、覆いとして働くためです |
| 跡は残る? | 紫色や褐色の跡がしばらく残ることがある | 徐々に薄くなりますが、皮膚が薄い方では白く残ることもあります |
| くり返してしまう | 保湿と、腕を覆うことから始めてください | 一度起きた方は再発しやすく、予防の効果がはっきり出る場面だからです |
| 床ずれとは違うの? | 違います | 床ずれは持続する圧迫で深部から傷むもの、スキン-テアは摩擦やずれで表面が剥がれるものです(関連記事: 床ずれ) |
受診の目安
- その日のうちに受診 — 出血が止まらない/傷が深い、皮膚が大きく失われている/めくれた皮膚を元に戻せない/汚れた物で受傷した
- 早めに受診 — 1〜2週間たっても治らない/傷のまわりが赤く広がる/黄色い汁や膿、においがある/痛みが強まってきた
- 相談を — 短期間にくり返している/血をさらさらにする薬やステロイドを内服している
- すぐに受診・救急を考える — 発熱を伴う/腕や足全体が赤く腫れて痛む(蜂窩織炎の可能性があります。関連記事: 蜂窩織炎)。夜間・休日で判断に迷うときは救急安心センター(#7119)が利用できます
あび皮膚科クリニックは2027年の開業を予定しています。開業のお知らせやご質問・ご意見は、お問い合わせフォームからお寄せいただけます。
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参考情報
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A(確認日: 2026-09-13)
- 日本皮膚科学会 診療ガイドライン一覧(確認日: 2026-09-13)
本記事は皮膚科領域の一般的な公開情報に基づいて作成しています。個別の症状の判断は、必ず医療機関でご相談ください。

